コンビニでもスーパーでも、ドリンクコーナーに行くとメインはペットボトル飲料。
でもなぜかコーヒーの場合は、缶コーヒーの方が多く並んでいますよね。
- コーヒー飲料の場合はペットボトルが少ないのか?
- 缶コーヒーとペットボトルコーヒーに違いはあるのか?
今回の記事では、そんなコーヒーにまつわる疑問にお答えします。
INDEX
ペットボトルのコーヒー飲料が少ないのには理由があった
30代、40代の方が小さい頃に買っていた飲み物を思い出すと、缶飲料がほとんどだったはずです。
というのも社団法人全国清涼飲料工業会によると、1999年までは、生産されている飲み物の容器別シェアの半分以上が缶飲料だったからです。
ただし、1999年からはペットボトル飲料のシェアがどんどん大きくなり、2017年の段階では全体の72.6%がペットボトル飲料です。
缶飲料はわずかに14.1%と、現在ではほとんどの清涼飲料水がペットボトルで販売されています。
缶の飲み物って、ほとんど自動販売機くらいでしか見る機会もなくなったのではないでしょうか?
ただし、コーヒーに限っては、近年のデータでも70%近くが缶コーヒーとして販売されていて、ペットボトルコーヒーのシェアは20%にもなりません。
従来の缶コーヒーより、ボトル缶のコーヒーが特に増えています。
なぜペットボトルが主流の現在でも、コーヒーはペットボトルの商品が少ないのでしょうか?
実はこれには2つの理由があります。
理由1~製造過程の殺菌
コーヒー飲料を製造する時には、法律で殺菌工程を含めるよう定められています。
殺菌するためには、容器にコーヒーを入れた後に、高圧力・高熱をかける必要があります。
ペットボトル容器の場合、この殺菌工程に容器自体が耐えることができないため、耐久性の高いスチール缶が使われています。
また内容量が約1杯分の195mlというのも殺菌のためにちょうどよく、大容量のペットボトルに比べて短時間・高温で殺菌できるため、殺菌に伴う品質低下も防ぐことができます。
理由2~需要自体が少なかった
喉が乾いた時にガブガブと飲みたくなるスポーツドリンクや炭酸飲料と違い、コーヒーには「大容量のボトルが欲しい」という需要自体が、これまであまりありませんでした。
コーヒーはコーヒーカップで飲むものというイメージが日本人には強かったため、ほぼ同量の飲みきりタイプの缶コーヒー195mlというのがスタンダードになったのです。
これまでにも何度かペットボトルサイズのコーヒーが発売されることはありましたが、流行せずにすぐに販売が中止されています。
確かにマグカップの量が200mlくらいのものが多いので、缶コーヒーで飲む量はちょうど自宅で普段飲んでいるコーヒーの量くらいなんですね。
こうした2つの理由から、コーヒー飲料といえば、ペットボトルコーヒーは少なく、ほとんどが缶コーヒーでした。
ただし、ある商品の登場によってこの流れが変わってきています。
クラフトボスで始まったペットボトルコーヒー時代
「コーヒーは缶コーヒー」という常識を一気に壊したのがクラフトボスです。
500mlというこれまでのコーヒーにはなかった大容量のペットボトルコーヒーです。
人気が非常に高く、なんとクラフトボス カフェオレは発売から3日で販売数が想定を大きく上回り、販売を一時停止にするほどでした。
クラフトボスの人気を受けて、各清涼飲料水メーカーもペットボトルコーヒーの販売を促進していて、最近ではコンビニやスーパーのドリンクコーナーでもペットボトルに入ったコーヒーを見かけることが増えてきました。
ペットボトルコーヒーがこうして流行するようになったのは、偶然ではありません。
無菌充填技術の確立がきっかけ
法律でコーヒー飲料は殺菌するよう定められていて、それがペットボトルコーヒーが普及しない大きな理由の一つでした。
しかし最近では無菌充填技術が確立され、コーヒー飲料でもペットボトルに入れて販売することができるようになりました。
無菌充填技術とは、殺菌されて無菌になったドリンクを、無菌のペットボトルに無菌の空間で充填する技術です。
高い衛生レベルが求められるため、完全機械生産で、生産工程には人も立ち入れません。
ちなみに、この無菌空間での飲料充填技術を最初に開発したのは日本です。
こうした新たな技術の開発によって、ペットボトルコーヒーの殺菌の問題が解決されました。
若者のニーズとマッチ
人々の嗜好の変化もペットボトルコーヒーの流行を後押ししました。
缶コーヒーは外で働く労働者たちからの支持を得ていますが、ペットボトルコーヒーは「仕事場で少しずつ飲みたい」という若い世代のオフィスワーカーのニーズをとらえました。
缶コーヒーだと一度開けてしまうと、長時間置いておくことが難しいですもんね。
それに比べて、ペットボトルコーヒーはは、フタができるのでコーヒーの醍醐味の1つである風味が損なわれないのも、嬉しいポイントですね。
またスタバなどでサイズの大きいコーヒー飲料が当たり前になったので、大容量のコーヒーを飲むことへの抵抗もなくなってきました。
ペットボトル飲料がメインに使用されるようになってからの世代は、逆に缶飲料に古くささも感じるようで、ペットボトルコーヒーの流行はある意味当然の流れだったのかもしれません。
最近では、楽天市場のネット通販でもクラフトボスの箱買いができるようになり、コンビニで購入するよりも安く、送料無料で自宅まで届けてくれます。
あまりコンビニで見かけないクラフトシリーズも選べるので色々なテイストが味わえて楽しいです。
缶コーヒーとペットボトルコーヒーの違いは?
日本の技術の進化でペットボトルコーヒーもクラフトボスに限らず各メーカーがたくさんラインナップするようになってきました。
では、缶コーヒーとペットボトルコーヒーで味の違いなどはあるのでしょうか?
クラフトボスによると…
味わいもひと味違う。これまで缶コーヒーは、エナジードリンクの要領で気を引き締めるシーンで飲まれてきたこともあり、濃いテイストのものが割合多い。これに対して、クラフトボスはさらっとした飲み口だ。
「飲んだときに、一般的な缶コーヒーよりちょっと薄いと感じませんでしたか? 実はあえて、するする飲める味わいにしています」と桜井さんは話す。
「新種のコーヒーとして、濃い味わいより、すっきり飲める口当たりを意識しました。容量もたっぷりあるので、ちびちび飲んでも飽きません。購買データを見ると、これまで水やお茶を購入していた『コーヒーを飲んでいなかった層』にも届いています」(桜井さん)
クラフトボスが大ヒットした納得の理由/産経BIZ
とのこと。
クラフトボスに倣ってなのか、他のメーカーのラインナップしているペットボトルコーヒーも一般的にすっきりした味わいの商品がおおいですね。
- 薄味で暑い日にもグビグビ飲める。
- 少しずつ飲んでいても飽きない
などのペットボトルコーヒーならではのメリットで、今までコーヒーを飲んでこなかった層のニーズにも応えられているそうです。
確かに挽きたてのおいしいコーヒーが飲みたければ最近はコンビニコーヒーがありますし、運転中にシャキッとしたければ缶コーヒーに手が伸びます。
ペットボトルコーヒーは、これまでになかった仕事中にちびちび飲むなど新しいコーヒースタイルなのかもしれません。
コーヒー好きとしては、ペットボトルコーヒーもいろいろなメーカーから発売されることでいろいろなテイストが楽しめるのが嬉しいですね。
ペットボトルでコーヒーをゴクゴク飲もう
一昔前にはほとんどなかったペットボトルに入ったコーヒー。
最近になってコンビニやスーパーで見かけるようになったのは、日本ならでは技術の進歩のおかげです。
飲みきりタイプでいろいろな味わいから選べる缶コーヒーもいいですが、たまにはスッキリとゴクゴク飲めるペットボトルコーヒーを飲んでみるのはいかがでしょうか。