日本ではなかなか手に入らないドミニカ共和国のコーヒー。
みなさんはお飲みになったことがありますか?
今回の特集では、カリブ海に浮かぶイスパニョーラ島の2/3からなる“知る人ぞ知る”ドミニカ共和国のコーヒー豆の特徴や等級、おすすめの農園についてご紹介します。
INDEX
ドミニカ共和国のコーヒー豆の特徴
- ドミニカ共和国のコーヒー豆生産量:1.8万トン
- 世界生産量ランキング:34位
- 世界シェア:0.1%
ドミニカ共和国のコーヒー豆生産量は世界シェアのわずか0.1%とわずかで、国内消費も多いため輸出されるのは全体の生産量の一部のみです。
*ブラジルの生産量は年間約300万トンなので、約1/200の生産量です。
またドミニカ共和国で生産されたコーヒー豆のほとんどはヨーロッパに輸出され、日本向けの輸出量は年間数千袋のみなため、日本でもよほどコーヒー好きでないとなかなか飲む機会がありません。
ただし、これだけ生産量が少ないのにコーヒー豆産地として世界的にはかなり有名なのは、その品質の高さとリーズナブルさが大きな理由です。
今回の特集ではそんなドミニカ共和国のコーヒー豆の特徴についても掘り下げてご紹介します。
コーヒー豆産地としてのドミニカ共和国
カリブ海の島国であるドミニカ共和国にはコーヒーの栽培に適した環境が揃っています。
国土は北海道よりも少し大きい程度ですが、標高2,000m以上の山々が連なっています。
山地では昼夜の寒暖差が大きく、カリブ海の湿った空気が上昇していくと冷やされ雲ができ、日照をコントロールして適度な温度・湿度を保ちます。
肥沃な石灰岩の上に腐葉土が重なった土壌はコーヒー栽培に最適で、主にこうした条件が整った標高700m~1,500mの山岳地帯の斜面でコーヒーが栽培されています。
ドミニカ共和国でのコーヒー栽培はエリア別に…
- ノロエステ地区
- シバオ地区
- シエラオクシデンタル地区
- シエラセントラル地区
- シエラスール地区
- ネイバ地区
- バラオナ地区
の7ヶ所に分けられています。
特にバラオナは良質なコーヒー豆の産地として国際的に評価の高いコーヒー豆を毎年産出しています。
ドミニカ共和国のコーヒー豆の歴史
ドミニカ共和国の歴史とコーヒー栽培の歴史についても簡単に触れておきましょう。
1492年のコロンブスの最初の航海で、イスパニョーラ島が発見されました。
西へ西へと行ったら「インドにつく」と思っていて、着いたところはインドだと思ったことから一帯の島々は「西インド諸島」と名付けられています。
その後、スペインの支配を受け奴隷貿易の中継地になっていました。
しかしこの段階ではコーヒーの栽培はほとんど行われておらず、主要な農産物はサトウキビでした。
1,700年代にティピカ種が移植されたのがコーヒー栽培の始まりとされていますが、本格的にコーヒー栽培が始まったのは1844年の独立後からです。
その後コーヒー栽培が盛んに行われ、現在ではドミニカ共和国の砂糖に次ぐ2番目に重要な農産物となっています。
ドミニカ共和国のコーヒー豆栽培
ドミニカ共和国では主にアラビカ種が栽培されています。
ロブスタ種も栽培されておりますが、生産量の約1%程度です。
そして、アラビカ種の中でもティピカ種と呼ばれる種の生産が有名で、ブルーマウンテンの原種としても知られています。
この品種は病害虫に弱く手がかかることで有名なのですが、風味の品質に優れドミニカ共和国の生産量が少ないにもかかわらずヨーロッパで高く評価されている大きな理由の1つとなっています。
有名なブランドとしては、有機栽培でドミニカカリビアンモカがあります。ドミニカ共和国農務省にもプレミアムコーヒーとして認められていて、比較的高値で取引されます。
その他フェリスカフェ、バラオナプリンセサプリンセサなどのブランドコーヒーがあります。
小規模農園が多いため、コーヒーは基本的に手摘みで収穫され、その後果肉を落とし、水洗式で精製されます。
丁寧な作業で欠点豆の混入率も低く品質が高くなっています。
ドミニカ共和国のコーヒー豆の味の特徴
ドミニカ共和国産のコーヒーは、よく“ブルーマウンテンに似ている”と言われます。
というのも、実際に栽培されているのがブルーマウンテンの原種であるティピカ種で、産地の地理的・気候的な条件も似ているため当たり前と言えば当たり前なのですが…。
味はすっきりとしてやさしく、軽い柔らかな酸味と評されます。香りは豊かで、ナッツ系でフルーティーと評されます。
高級ブランドコーヒーの代名詞にもなっているブルーマウンテンは、非常に高額になることも多いですが、ドミニカ共和国のコーヒーならシングルオリジンの品質のしっかりしたものでも半額以下で購入できます。
こういった意味では、ドミニカ共和国コーヒーは“知る人ぞ知る”コスパに優れたコーヒー豆といえます。
おすすめの飲み方
ぜひドミニカ共和国の高品質なコーヒー豆が手に入ったら、豆の特徴をそのままに楽しめるフレンチプレスをお試しください。
また、豆屋さんによっては焙煎段階を選べるところもあります。
ドミニカ共和国のコーヒー豆は浅煎りで仕上げると、ナッツ感のあるフルーティーな味わいで、鼻から抜ける香りが心地いいです。
また、中煎りで仕上げると、ナッツやフルーティーさの中に香ばしさも加わります。甘みと酸味もまだ残っており、バランスが良いです。一番おすすめです。
中深煎りで仕上げると、華やかな香りと心地よい苦味の中に甘みも残っており、すっきりとした印象を感じます。
また、せっかくなのでドミニカ共和国でよく飲まれている方法もご紹介します。
現地ではイタリアと同じくマキネッタを使ってエスプレッソでいただくことが多いです。
エスプレッソカップに砂糖をたっぷり大さじ1ほど入れてよくかき混ぜれば完成です。
砂糖は溶け切らずに底に残るので、パンやビスケットにつけていただくとコーヒーの味と甘みでなんとも贅沢です。
ドミニカ共和国のコーヒー豆の等級について
ドミニカ共和国のコーヒーのグレードは「生産地」と「スクリーンサイズ」によって分けられています。
ドミニカ共和国のコーヒー豆の等級 | ||
表記 | スクリーンサイズ | 条件 |
AAA | 大 ↑ | ↓ 小 |
7つの各地域によって異なる |
AA | ||
A | ||
AB | ||
B |
スクリーンサイズは大きい順にAAA、AA、A、AB、Bと五段階に分けられていて、コーヒー豆の大きさが大きいほど高品質と言われています。
等級の表記基準は主な生産地である7つの各地域によって異なるため、同じAAAでも産地ごとにスクリーンサイズに微妙にばらつきがあることがあります。
ただし、ドミニカ共和国のコーヒー豆はしっかりとハンドピックされているため、比較的豆の品質は安定している事が多いです。
おすすめのドミニカコーヒー1「Barahona Los Bolos AAA」
ドミニカ共和国で最高峰とも言われるAAA「ドミニカカリビアンクイーン」です。
ドミニカ共和国の中でも一番評価の高いバラオナの小規模農園が栽培しています。
香りが豊かで、酸味苦味のバランスに優れているクセのない柔らかい風味が特徴。
こういった特徴からブルーマウンテンに似ているとよく言われます。
創業70年の上町珈琲が焙煎したてを発送してくれるので、一番の飲み頃を逃すことなくいただけます。
おすすめのドミニカコーヒー2「ドン アルフレッドディアス農園」
ドミニカ共和国のハラバコアで100年以上続く家族経営の「ドン アルフレッドディアス農園」。
ドミニカ共和国ではティピカ種が貴重になってきていますが、アルフレッドディアス農園ではティピカ種を守る活動を展開しています。
そんな貴重なティピカ種100%のシングルオリジンを焙煎したてでいただけます。
甘みと香りの強いフルボディのコーヒーですが、苦味や酸味は強くないので、ブラックコーヒーを普段あまり飲まない方でも非常に飲みやすいクセのない風味です。
コスパに優れた逸品・ドミニカコーヒーを味わおう
日本では知名度が高くなく、流通量も少ないため“知る人ぞ知る”ドミニカ共和国のコーヒー豆。
希少なティピカ種が栽培され、スッキリとしたバランスに優れたクセのない味わいが特徴です。
ヨーロッパに多く輸出され日本では手に入りづらいですが、ネット通販ならシングルオリジンを焙煎したてで発送してくれるので、是非一度カリブ海ならではのドミニカ共和国のコーヒーを楽しんでみるのはいかがでしょうか?