あなたは、タンザニア産のコーヒーを飲んだことがありますか?
タンザニアという名前では聞いたことがなくても、「キリマンジャロ」という銘柄名はほとんどの方が聞いたことがあると思います。
アフリカ最高峰、キリマンジャロ山で収穫されるタンザニアのコーヒーは、強い酸味と風味が特徴。
今回は、そんなタンザニアのコーヒー豆の特徴とその魅力をみてみましょう。
INDEX
タンザニアのコーヒー豆の特徴
- タンザニアのコーヒー年間生産量:55,770トン
- 世界シェア: 0.53%
- 生産国量ランキング:21位
※2018年度調査(FAO国連食糧農業機関による統計より)
東アフリカ、ケニアの南に位置するタンザニア。
アフリカでも有数の大自然に恵まれた農業国で、アフリカでは、エチオピア、ウガンダに次いで3番目にコーヒー生産量の多い国です。
コーヒー豆産地としてのタンザニア
赤道の南に位置するタンザニアでは、国土の大半が標高1000m以上の丘陵地帯。
コーヒー豆は、農産物の輸出が経済の重要な役割を果たしているタンザニアの貴重な外貨獲得源で、輸出収入の約20%に及びます。
良質なアラビカ種コーヒー豆の多くを栽培しているのは、北東部のケニア国境に近いキリマンジャロ山のふもとです。
標高1500m~2500mのアルーシャやモシでは、朝夕の温度差が大きく、適度な降水量と火山灰を含む肥沃な土壌に恵まれ、コーヒー栽培に適した環境で、固く大粒のコーヒー豆を作り出しています。
タンザニアでは、ロブスタ種の栽培もしており、全体の約2割を占めます。
主にビクトリア湖西側の地域で栽培されています。
タンザニアのコーヒー豆の歴史
タンザニアのコーヒー豆の歴史は、原住民によって始まりました。
16世紀頃、ビクトリア湖周辺に住むハヤ族が、コーヒーチェリーを乾燥させて食べていたそうです。
コーヒーが飲み物としてタンザニアに伝わり、栽培が始まったのは、19世紀末。
カトリック教会の宣教師がブルボン種のコーヒーノキを持ち込んだといわれています。
その後、ドイツ植民地化のタンザニアでは、コーヒー栽培に関する徹底した管理のもとプランテーション栽培が始められました。
1910年代には、ドイツやイギリス主導で、キリマンジャロ山域に100を越えるプランテーションがあったそうです。
第一次大戦後、統治権がドイツからイギリスに移ると、イギリスは1,000万以上のコーヒーノキを植え、タンザニアのコーヒー産業を更に発展させます。
また一方で、キリマンジャロ先住民協会が作られ、より良い価格でコーヒー交易ができるように、多くの協同組合が設立されました。
タンザニアのコーヒー豆栽培
タンザニアで栽培されるコーヒー豆は、アラビカ種とロブスタ種の両方です。
アラビカ種の多くは、標高5,895mのキリマンジャロ山付近で栽培されています。
栽培品種は、主にブルボン、ティピカ、ケント。
日照量を調節するために、シェイドツリーとしてバナナの木のそばで育てられています。
タンザニアのコーヒーの精製方法は、ほとんどがウォッシュト(水洗方式)。
また、現在のタンザニアのコーヒー農園の約9割は小規模農家です。
栽培から収穫まで手作業で行った後、多くの農家がセントラル・パルバリー・ユニット(CPU、水洗処理施設)でコーヒー豆を精製しています。
タンザニアの高級豆「キリマンジャロ」とは
タンザニアの高級豆「キリマンジャロ」とは、もともとキリマンジャロ山のふもとで栽培された高級なアラビカコーヒーでしたが、現在は、タンザニアで収穫された水洗処理のアラビカ種コーヒーを指しています。
非常に良質な酸味が特徴。
そして、それでいてコクや甘みのある風味にも優れるためコーヒー好きの間で人気が高いです。
キリマンジャロと聞くと“缶コーヒー”を思い浮かべる方も多いですが、実は品質のよくないコーヒー豆が缶コーヒーに回されるため、ぜひ一度本物のキリマンジャロを楽しんでいただければと思います。
日本ではブルーマウンテンと並んで人気豆として知られる「キリマンジャロ」ですが、実は海外ではそこまで有名ではありません。
日本では、ヘミングウェイ原作「キリマンジャロの雪」という映画のヒットがきっかけで、知名度が上がり人気豆の地位を築きました。
キリマンジャロのコーヒー豆の味の特徴
キリマンジャロコーヒーの最大の特徴は、強い酸味とバランスの良いコク。
よくケニア産コーヒーと比較されますが、キリマンジャロは、より野生的な風味が特徴です。
しかし、実際、キリマンジャロは栽培地域や、高度、気候によっても味が変わるため、バライエティにとんだコーヒーと言えるでしょう。
北部のキリマンジャロ山麓のコーヒーの多くは、芳しい香りと酸味、バニラのような甘みが残るコクの深さのある豆が多いですが、南部産のコーヒーは、酸味だけでなくフルーツや花を連想させる香りと、重すぎないコクが特徴です。
スッキリとした雑味のないキレのある後味のため、ブラックコーヒーが苦手という方にも比較的飲みやすいコーヒーです。
おすすめの飲み方
タンザニア産コーヒーは、ブレンドにせず、ストレートで飲まれることが多いです。
また、焙煎度を変えると、豆の個性がひきたちます。
例えば、中煎りにした豆を中挽きでドリップすると、タンザニアの特徴的な酸味と香り、風味を十分に楽しむことができるでしょう。
ハンドドリップで、濃さを加減しながらいれてもいいですし、コーヒーメーカーですっきりした味わいを楽しむこともできます。
中深煎りにすると、タンザニア特有の酸味は落ち着き、深煎りにすると芳ばしく心地よい苦みが感じられます。
中深煎り以上の焙煎度にすると、ミディアムボディのバランスのよいコーヒーに仕上がるため、疲れた頭をすっきりさせたい午後のブレイクタイムにおすすめ。
フレンチプレスで、旨味を逃さずにいれてみて下さい。
キリマンジャロのコーヒー豆の等級について
キリマンジャロコーヒー豆の等級は、基本的に豆の大きさ(スクリーンサイズ)で最高級AAからCに分類されます。
等級 | スクリーンサイズ |
AA | 6.75㎜以上 (S17以上で、S18の豆が86%以上、欠点豆が少ない高級グレード) |
A | 6mm~6.75mm (S16~17の豆が約90%~95%以上) |
B | 6.15mm~6.25mm (S15~16の豆) |
AB | AとBの混合 (S15~17の豆) |
C | 5.9mm〜6.15mm (S14~15の豆) |
ほかに、高価なピーベリー(PB)やエレファントビーンズ(E)があります。
また、FINE、GOOD、FAIR GOOD…VERY POORなどの品質による分類を用いることもあります。
おすすめのタンザニアコーヒー~キリマンジャロ AA モンデュール農園
キリマンジャロ山近郊のアルーシャ地区にあるモンデュール農園は、1931年イタリア人のDAVICO氏によって開拓された農園です。
寒暖差の激しい標高1650~1840m、肥沃な土壌に恵まれ、シェイドツリーを利用した栽培で、高品質なティピカやケントが栽培されています。
徹底した管理と近代的な生産手法を貫いてきたモンデュール農園のコーヒーは、タンザニアコーヒー協会のコンクールで金賞(1999年)を受賞したこともある高品質さが魅力。
本物のキリマンジャロを体感したいコーヒー好きの期待を決して裏切りません。
おすすめのタンザニアコーヒー~キリマンジャロAA×4種
キリマンジャロAAは、力強く個性的な酸味とコクをもつバランスの良いタンザニア最高等級のコーヒーです。
特徴豊かなそのテイストは、焙煎度を変えるだけで、さまざまな味が楽しめてしまう魅力にあふれています。
こちらの商品は、焙煎度別に「ミディアム」「ハイロースト」「シティーロースト」「フルシティ」の飲み比べができてしまう贅沢なセットです。
酸味を楽しむなら「ミディアム」、存在感のある苦みを楽しむなら「フルシティ」など、気分に合わせて選んだり、焙煎度によって変化する風味を味わったりコーヒーの楽しみ方を広げてくれます。
タンザニアの高級豆のキリマンジャロを試してみよう
「キリマンジャロ」コーヒーは、隣国ケニアや、エチオピアほど華やかなイメージはありませんが、キリマンジャロとして長く日本のコーヒーファンを魅了してきました。
栽培地域や焙煎度でさまざまな表情を見せてくれる野生的なコーヒーです。
アフリカ最高峰の名がついたコーヒーをたしなんでみるのはいかがでしょうか?