コーヒーを飲むと夜に眠れない人もいれば、いくらコーヒーを飲んでも関係なく眠れるという人もいます。
カフェインの反応がなく、夜遅くにコーヒーを飲んでも安心して眠ることができるというライターのソ・ハンナ氏が、示している要因を紹介します。
その要因とは
・脳
・心臓への影響
・運動への影響
などが考えられています。
では、ひとつずつ見ていきましょう。
遺伝子
「CYP1A2」という名前の遺伝子がカフェインの代謝に関与しており、この遺伝子のコピーの数がカフェインの代謝速度に影響を与えていることが示されています。
人口の約50%がCYP1A2のコピーを2つ持っており、カフェインの代謝が迅速に行われます。
一方、残りの40%はコピーが1つで、代謝速度が遅く、コピーを持たない残り10%は代謝が非常に遅いとされています。
カフェインの「半減期」は代謝速度によって異なり、2時間から8時間
かかることがあるため、体内でカフェインの半分を消去するのに2時間から8時間かかることがあります。
しかし、カフェインの代謝速度だけが、カフェインを含む飲み物を飲んだときの感じ方に影響を与えるわけではないとのことです。
脳
メイン州にあるエリオット大学の神経科学プログラムを主導するロベルト・ゴンザレス氏によれば、カフェインは脳内のアデノシン受容体に結合し、その活性化を防ぐことで効果を発揮すると言われています。
脳内のアデノシン受容体の数は「遺伝」と「日常的なカフェイン摂取量」によって決まり、コーヒーを頻繁に飲む人の場合、アデノシン受容体の数が増加する傾向
があります。
ゴンザレス氏によれば、一部の人々は通常よりもアデノシン受容体の数が多いため、カフェインが全てのアデノシン受容体の活性化を阻止することができず、カフェインの効果が弱まる可能性があるとのことです。
心臓への影響
カフェインの効果は、心血管系にも影響を与え、カフェインの代謝が遅い人はコーヒーを多く摂取すると心臓発作のリスクが高まるとされています。
一方、カフェインの代謝が速い人はこの傾向は見られないようです。
カフェインの代謝が遅い人でコーヒーを多く摂取する人は、高血圧や腎臓病など他の疾患のリスクも高まる可能性があります。
これはカフェインが血液中に残留し、体内の組織に何らかの影響を与えるためと考えられていますが、具体的なメカニズムはまだ明らかにされていません。
運動への影響
カフェインは運動パフォーマンスを向上させるとされており、カフェイン代謝の遅い人はカフェインが体内に長く留まるため、利点が多いと考えられていましたが、実際には逆の結果が示されています。
代謝速度が異なる人々に対するカフェイン摂取後の運動能力の変化を調査した研究では、代謝速度が速い人は自転車のタイムトライアルでのパフォーマンスが向上し、代謝速度が遅い人はパフォーマンスが低下することが示されています。
これはカフェインが血管を収縮させ、筋肉への血流が減少する影響があるためとされています。
総括
35人の男性サイクリストを対象に行われた研究では、カフェインがパフォーマンスに与える影響についての分析が行われ、カフェインの代謝が速い人でも、代謝が遅い人と同様に影響を受けていることが示されています。
しかし、カフェインの代謝が速い場合、体がカフェインを迅速に分解するため、悪影響を及ぼすほど長く体内に留まらないことが示されています。