私たちが子供の時には、「コーヒーは大人の飲み物!」なんて言われて、叱られた経験があるのではないでしょうか?
「子供がコーヒーを飲むと成長が止まる」なんて意見もよく聞きます。
では、実際コーヒーは何歳から飲んでもいいのでしょうか?科学的な根拠も含めつつ、わかりやすくご紹介します。
INDEX
コーヒーに含まれるカフェインの作用
「子供にはコーヒーを飲ませてはいけない」とよく言われるのは、コーヒーにカフェインが含まれているからです。
そもそもカフェインとは
カフェインとは、アルカロイドと呼ばれる化合物の一種。
私たちも生活の中で頻繁に摂取しているため、馴染みのある成分ですが、実は医薬品などにも使用されています。
カフェイン研究雑誌はカフェインのことを世界中で最も普及しているドラッグと呼んでいます。
正しく用いられれば、カフェインには覚醒作用で眠気を吹き飛ばして集中力を高めてくれる効果があったり、脂肪の分解を促進するリパーゼという酵素に働きかけるダイエット効果が得られたりといったメリットがあります。
カフェインの子供への影響
カフェインにはメリットもありますが、子供が摂取する場合には注意が必要です。
カフェインを小さい子供が摂取すると、身体が小さいため体内で処理する能力が低く、大人よりも覚醒作用が強く働いて夜眠れなくなってしまう ことがあります。
また一度に大量に摂取すると、頭痛や吐き気といった中毒症状 を起こすこともあります。
子供の場合、カフェインが身体から抜けた時の離脱作用も怖いです。
小さい時からカフェインを摂取してしまうと、カフェインが身体から抜けると不安や頭痛、疲労感を感じるといった依存症のような症状 が現れる可能性があります。
子供のカフェイン摂取が脳の発育を妨げる可能性がある という報告をしている専門家もいます。
カフェインを研究する元東京福祉大教授の栗原久さん(70)は「子どもが大量に摂取すると不安や、頭痛、疲労感といった離脱症状が生じるリスクが高まる」。脳を刺激し、眠気防止などには有用だが、「子どもの脳の発育を邪魔する可能性がある」と指摘する。
子どもにカフェイン、注意 睡眠、脳の発育に影響する恐れ|中日新聞
年齢ではなく身体の大きさで判断する
では、何歳ごろからコーヒーを飲めるようになるのでしょうか?
一般的によく言われるのは10歳くらいからです。
しかし、コーヒーが飲めるようになるかどうかの判断は、年齢ではなく、身体の大きさで判断する方が良いです。
というのもカフェインをどれくらい摂取できるかは、身体の大きさと関係があるからです。
コーヒーの場合、飲み始めるのは体重が50kgくらいになってからにするのが一つの目安になります。
カフェイン摂取量の国際的な基準は定められていませんが、欧州食品安全機構(EFSA)では、健康な人が摂取しても安全なカフェインの量のガイドライン(クリックするとPDFファイルが開きます)を定めています。
1日に5.7mg/kgまで子供:1日に3mg/kgまで
- 体重20kgの子供 1日60mgまで
- 体重30kgの子供 1日90mgまで
- 体重40kgの子供 1日120mgまで
- 体重50kgの子供 1日150mgまで
- 体重60kgの子供 1日180mgまで
こうして見てみると、体重によって安全に摂取できるカフェインの量に大きな差があることがわかります。
10歳を過ぎていても身体が比較的小さい場合、安全に摂取できるカフェイン量は他の子供と異なるので注意が必要です。
どうしてもコーヒーが飲みたい場合、牛乳などで割ってカフェオレにしてあげると、摂取するカフェイン量も減らせます。
コーヒーを飲むのは大体体重が50kgくらいになってからにするようすすめられていますが、実は子どもたちが普段口にするような飲み物・食べ物にもカフェインは含まれているため、保護者の方は注意が必要です。
コーヒー以外の飲み物・食べ物にもカフェインは含まれる
では、子どもたちが普段口にするような飲み物・食べ物にどれくらいのカフェインが含まれているのか表で確認してみましょう。
食品名 | 100mlあたりのカフェイン量 |
コーラ | 9~19mg |
紅茶 | 約30mg |
栄養ドリンク | 約50mg/本 |
レギュラーコーヒー | 約60mg |
エナジードリンク | 30~140mg/本 |
ミルクチョコレート | 25~35mg |
高カカオチョコレート | 65~120mg |
子どもたちが大好きなコーラでも、100mlあたりのカフェインは少ないですが、種類によっては500mlペットボトルを一本飲むと、95mgほどのカフェインを摂取 することになり、体重が30kgほどの子供の安全に摂取できるレベルを超えてしまいます。
また最近テレビCMも流れ人気の高いエナジードリンクですが、含まれるカフェインの量はとても多く、一本飲むだけでほとんどの子どもたちの安全摂取量を超えてしまいます。
チョコレートも種類によってはかなりのカフェインが含まれているため、ラベルの成分表示を確認してから購入するようにしましょう。
まとめ
昔から「子供がコーヒーを飲むと成長が止まる」なんて言われてきましたが、たしかに子供達がカフェインを摂取する場合には注意が必要です。
コーヒーに含まれているカフェインには、覚醒作用で集中力を高めたり、ダイエット効果を高めたりする効果がありますが、子どもたちが摂取しすぎると、頭痛や吐き気などの中毒症状や、カフェインが抜けた時に不安や頭痛、疲労感といった離脱作用に悩まされることがあります。
基本的にはコーヒーは、10歳くらいが目安と言われていますが、ヨーロッパのガイドラインに沿って、身体の大きさからもどれくらいのカフェインなら安全に摂取できるのか確認できます。
子どもたちは体重50kgくらいになったらコーヒーを飲んでも大丈夫でしょう。
しかし、コーヒー以外にも普段の日常生活の飲み物・食べ物の中にも意外とカフェインは含まれています。
今回の記事の内容を参考にしながら、子どもたちが毎日の生活でどれくらいのカフェインを摂取しているのか確認してみましょう。