コーヒーが好きで毎日飲んでいると、「コーヒーを飲みすぎると健康に良くない!」「コーヒーを飲みすぎると病気になる!」なんて言われたことのある方も多いのではないでしょうか?
実際、コーヒーの適量ってどれくらい?飲みすぎるとどんな影響があるの?と気にしている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回の記事では、コーヒーの適量や飲み過ぎについてよく言われていることが本当かどうか、ひとつずつ解説していきたいと思います。
毎日のコーヒーを飲む量を決めたり、安心してコーヒーライフを楽しむためにお役立てください。
INDEX
コーヒーの1日の適量はどれくらい?
1日に何杯くらいコーヒーを飲んでいますか?
まずはじめにどのくらいの量までが適量で、どこからが飲み過ぎなのか確認しておきましょう。
コーヒーの適量を考える上で、重要なのがコーヒーに含まれるカフェインです。カフェインは摂取しすぎると、身体への悪影響も確認されているため注意が必要です。
ただし、カフェインの摂取量について、日本では食品安全委員会や厚生労働省でも特に安全となるガイドラインが設定されていません。
そこで、カフェイン量でよく基準とされるヨーロッパの欧州食品安全機構が定めた目安で確認してみましょう。
安全とされる摂取量 | 体重40kgの人 | 体重60kgの人 | 体重80kgの人 |
成人:1回の摂取量 | 120mgまで | 180mgまで | 240mgまで |
成人:1日の摂取量 | 228mgまで | 342mgまで | 456mgまで |
未成年:1日の摂取量 | 120mgまで | 180mgまで | 240mgまで |
妊婦・授乳婦 | 1日の摂取量:200mgまで |
(参考文献:EFSA opinion on the safety of caffeine)
成人でも体重によって、安全とされる摂取量の目安がずいぶん異なることがわかります。
一般的には、一度に200mg以下、1日に400mg以下を目安にするとよいといわれています。
では、実際に1日の生活の中でコーヒーを含めた飲み物でどれくらいのカフェインを摂取しているのか確認してみましょう。
食品名 | カフェイン濃度(一杯あたり) |
エスプレッソコーヒー | 40mg |
ドリップコーヒー | 130mg |
缶コーヒー | 120mg |
インスタントコーヒー | 70mg |
紅茶 | 60mg |
緑茶 | 30mg |
コーラ | 50mg |
エナジードリンク | 36~150mg |
毎日の生活の中でどれくらいのカフェインを摂取しているか確認できたでしょうか?
1日のコーヒーの適量は3杯~4杯
「毎日の飲み物でカフェインが含まれているのはコーヒーぐらい」という方なら、1日に3杯~4杯くらいが適量と言えます。
1日のカフェインの摂取量を400mg以内で抑えておけば、健康被害の可能性はほとんど心配しないで大丈夫でしょう。
*ただし、人によってカフェインに対する反応の仕方は異なるため、安全な範囲内でも体調を崩したことのある方は、無理するのではなく医療機関に相談することをおすすめします。
また、コーヒーを飲んでいるとよく「健康に良くない!」という方もいますが、コーヒーを飲みすぎると本当に健康によくないのでしょうか?
ひとつずつ確認していきましょう。
コーヒーの飲み過ぎにまつわる7つのウソと本当
よく言われるコーヒーにまつわる7つの見方について、実際に根拠があるのかどうかご紹介していきたいと思います。
1.飲み過ぎは吐き気や胃の不調の原因になる!?
答え:半分本当、半分ウソ
コーヒーに含まれるカフェインには胃酸の分泌を促進する働きがあるため、飲みすぎると胃酸が過剰に分泌されて吐き気や胃の不調を引き起こすことがあります。
また、市販されているコーヒー豆の中には、焙煎からかなり時間が経った豆や粉も多く、酸化してしまったコーヒーを飲みすぎると、古い油で揚げた揚げ物を食べたときのような胃のもたれを感じることもあります。
こうした理由から、「コーヒーを飲むと胃の調子が悪くなる…」という方もよくいますが、実はコーヒー自体には、胃を守る働きもあることはあまり知られていません。
カフェインは一度に200mg以内の適量であれば、胃酸の分泌を促進して消化を助ける働きが期待できます。
重要なのは飲むタイミングです。
食後の一杯のコーヒーは理想的
空腹時のお腹にコーヒーを入れてしまうと、胃酸過多となって胃の不調を引き起こすことがありますが、食事の後で1杯のコーヒーを飲むと、胃酸が分泌されることで胃の中に入っている食べ物の消化を助けることができ、逆に胃もたれや胸焼けの予防になります。
朝一でコーヒーを飲む習慣のある方も多いですが、胃の不調を予防する意味では、あまりおすすめできる飲み方ではありません。
少なくとも朝食後にコーヒーを飲むようにすると、胃痛予防になります。
関連記事:コーヒーで胃の調子が悪い? 胃痛や胃もたれの原因とは?
2.コーヒーの飲み過ぎは肝臓へ悪影響!?
答え:ウソ
肝機能の低下を気にしている方の中には、「コーヒーを飲みすぎると肝臓に負担をかける」と心配している方もいますが、実はこれは間違いです。
国立健康・栄養研究所の調査でも、コーヒーの肝臓へのメリットが明らかになっています。
毎日のコーヒーでγ-GTPの数値が改善
お酒好きな方が健康診断の度に怖いのが肝機能を表すγ-GTPですよね。
γ-GTP
お酒の飲みすぎで肝臓が悪くなると、γ(ガンマ)-GTPという酵素の値が高くなります。
アルコールで負担がかかる肝機能の低下をコーヒーが抑えることが明らかになったのです。
また米国で行われた研究では、「毎日コーヒーを4杯以上飲む人は、全く飲まない人に比べてアルコール性肝硬変の発症率が5分の1になる」という報告(英語)があります。
コーヒーに含まれるクロロゲン酸の抗酸化作用がカギを握っていると考えられていて、カフェインが苦手な方はカフェインレスコーヒーでも同様の効果が期待できます。
3.コーヒーの飲み過ぎると動悸がひどくなる!?
答え:本当
コーヒーを飲むと心臓がバクバクしたり、心拍数が上がったりなど、動悸を感じることがあります。
動悸とは、「普通では自覚されない心臓の拍動やその乱れを自覚すること」をいい、日常診療で大変よくみられる症状であり、心臓病や心臓以外の疾患を診断するうえでも非常に重要な症状の一つです。
これはコーヒーの飲み過ぎで、コーヒーに含まれるカフェインの覚醒・興奮作用が過剰に働くことによって引き起こされます。
適量のコーヒーであれば、カフェインの覚醒作用は眠気覚ましや、運動能力向上など多くのメリットがあります。
しかし、一度にたくさんのカフェインを摂取してしまうと、急性のカフェイン中毒を引き起こします。
一般的に1時間以内に体重1kgあたり6.5mg以上のカフェインを摂取すると、急性症状がでる可能性が高くなると言われています。
体重60kgの人の場合390mgになり、コーヒー換算で3~4杯分になります。
1時間以内で3~4杯のコーヒーを一気に飲む方は少ないかもしれませんが、ほかにもコーヒーよりカフェインが含まれるエナジードリンクなどを続けて飲むと、急性カフェイン中毒で、動悸がしたり、最悪死に至ったケースもあるため、一度に摂取するカフェイン量には注意が必要です。
カフェインを多量に含む眠気防止薬や「エナジードリンク」などの清涼飲料水の急性中毒で、2011年度からの5年間に少なくとも101人が救急搬送され、7人が心停止となり、うち3人が死亡したことが13日、日本中毒学会の調査で分かった。
一度の摂取量を200mg以下にするのが目安です。
5.コーヒーを飲み過ぎと頭痛になる!?
答え:半分本当、半分ウソ
頭痛にはいくつもの種類があり、コーヒーを飲むと頭痛のタイプによっては痛みが軽減することもあり、逆にひどくなることもあるため、自分の頭痛のタイプを知ることが重要です。
偏頭痛持ちのコーヒーは要注意
偏頭痛のメカニズムは完全に解明されたわけではありませんが、セロトニンという脳内ホルモンの過剰分泌が原因になっていると言われています。
セロトニンが血管を収縮した後、拡張させるため痛みが生じます。
コーヒーに含まれるカフェインには血管収縮作用があるため、適量であればセロトニンによって拡張された血管を収縮させて、偏頭痛の痛み初めには症状を緩和させると言われています。
実際、頭痛薬の中にもカフェインが含まれているものが少なくありません。
コーヒーや緑茶などカフェインの入ったものを飲む
カフェインには血管を収縮させる働きがあるので、痛み初めにコーヒーなどを飲むと効くことがあります。
ただし、セロトニンによる収縮・拡張は繰り返されるため、コーヒーの飲みすぎでカフェインを過剰に摂取すると、逆に痛みがひどくなる方もいるため、痛みがひどくなった場合にはすぐにコーヒーを飲むのを中断したほうがいいでしょう
緊張性頭痛にはコーヒーブレイクが効果的
精神的・肉体的なストレスで引き起こされる緊張性頭痛の場合、頭の周りの筋肉、首や肩の筋肉が緊張することで起きます。
パソコンに向かって長時間同じ姿勢を続けることでも引き起こされるため、仕事の合間にちょっと姿勢を正したり、リフレッシュしたりすることで筋肉の緊張を解いてあげることが重要です。
また、コーヒーに含まれるアロマ成分には、脳のストレス負荷を軽減する働きがあることも研究によってわかってきています。
そのため、緊張性頭痛には、精神的・肉体的にもリフレッシュするために時々立ち上がって、ゆったりとコーヒーブレイクを取るのがおすすめです。
6.コーヒーを飲み過ぎると下痢になる!?
答え:本当
コーヒー以外のカフェインを含んだ飲み物で下痢にならないのに、コーヒーで毎回の用に下痢になってしまう方は、次の2つの原因が考えられます。
酸化しきったコーヒー豆
焙煎から日数の経ったコーヒー豆や製造から時間のたったインスタントコーヒーなどを使ってコーヒーを作ると、酸化が進んだコーヒーで食あたりを起こして下痢になることがあります。
一度、焙煎から時間の経っていない新鮮なコーヒー豆を使用してみましょう。
コーヒーアレルギーで下痢になることも
“遅発型アレルギー”と呼ばれ、身体に取り入れてからしばらくして反応が出るためわかりにくいですが、コーヒーに対してアレルギー反応を起こす方もいます。
症状は多岐にわたり、その中の一つが下痢です。
最近では検査キットで簡単に遅発型アレルギーのテストもできるようになったので、気になる方は試してみてもいいかもしれません。
関連記事:コーヒーアレルギー カフェインアレルギーの違いと症状や対策
7.コーヒーを飲み過ぎるとガンになる?
答え:ウソ
緑色のコーヒーの生豆を焙煎するというコーヒーの作り方ゆえに、コーヒーは飲み過ぎるとガンになると考えいている人は少なくありません。
またこうした見方が一般的だった時期もあります。
ただし、コーヒーは世界保健機構(WHO)の発がん性のある食品の中にもコーヒーは含められていません。
さらに最近の研究では、少し飲み過ぎたくらいだと逆にガン予防に効果的である可能性まで示されています。
複数のコホート研究では、「コーヒーを毎日飲む人は、ほとんど飲まない人に比べて肝臓がんの発生リスクが約半分に減少する」という結果が出ています。
また1日5杯以上飲む人は、肝臓がんの発生リスクが4分の1まで低下します。
(参考文献:がん対策研究所)
コーヒーは適量を守って楽しもう
コーヒーの飲み過ぎにまつわる、7つの注意点をご紹介しました。
昔は「コーヒーは身体に悪い」という見方もありましたが、今回ご紹介したように最近の研究の結果では、コーヒーに含まれる様々な健康効果も明らかになっています。
飲み過ぎには注意しつつも、毎日3~4杯ほどの適量を守って飲むなら、コーヒーは健康への優れた効果があります。
これからも適量を守ってコーヒーを楽しみましょう。