昔から「薬は一杯の水か白湯で飲みなさい」とよく言われます。
それでも、もちろんお酒はNGですが、「食後のコーヒーと飲むぐらい大丈夫じゃないか…」と考えている方は多いと思います。
ただし、コーヒーで薬を飲むと、薬が効かなくなったり 、身体の調子が悪くなる こともあります。
そこで今回の記事では、薬とコーヒーの関係についてご紹介したいと思います。
INDEX
薬は一杯の水(白湯)が原則
昔から薬を飲む時には一杯の水か白湯と言われますが、それにはきちんとした理由があります。
まず、薬を水なしで飲んでしまうと、途中でのどや食道の粘膜に貼り付いて、炎症 を起こしてしまう原因になります。
薬の中でも特に抗生物質や解熱剤は胃腸への負担が大きい ので、多めのお水か白湯で飲むことで胃腸を保護する働きもあります。
そして、薬は水に溶けることで吸収されやすくなります。
薬の中に含まれる成分も、水に溶けて効き目を発揮するのにかかる時間を想定して作られているので、薬が正しい効果を発揮するためにも一杯の水が白湯で飲むのが原則となります。
では、本来水で飲むところをコーヒーで飲んだらどうなるのでしょうか?
コーヒーと薬は危険な場合も
薬を水以外の飲み物と一緒に飲むと、
薬の成分と飲み物の成分が相互に作用して、薬の効き目が薄れてしまったり、逆に薬が効きすぎたり、身体に負担をかけてしまう可能性 があります。
特にコーヒーには、カフェインが含まれているため注意が必要です。
カフェインはよく知られている成分ですが、実は「世界中で最も普及しているドラッグ」とも呼ばれています。
興奮作用や覚醒作用があるため、薬との飲み合わせで予想外の相互作用が働くことがあります。
総合感冒薬とコーヒーでカフェインの過剰摂取?
「ちょっと風邪気味…」という時に飲む風邪薬。
実はコーヒーで飲むと、カフェインの過剰摂取になる可能性があります。
多くの総合感冒薬には、無水カフェインと呼ばれる種類のカフェインが含まれています。
市販の総合感冒薬には、1回の服用分で約25mg、1日の服用分で約75mgほどの無水カフェインが含まれています。
カフェインの摂取量が過剰に増えると、頭痛や吐き気 といった中毒症状が起きることがあるので注意が必要です。
総合感冒薬を飲んでいる間は、コーヒー自体も、カフェインの摂取量を考えながら飲むようにしましょう。
総合感冒薬だと、風邪の初期症状の時に風邪が悪化するのを予防するために飲む方も多いと思いますが、カフェインの摂取量には注意しましょう。
また同様の理由で、カフェインを多く含んだエナジードリンクで風邪薬を飲むのの注意が必要です。
喘息の薬とコーヒーで副作用が出やすくなる?
喘息治療薬にはテオフィリンという成分が含まれています。
テオフィリンには気管支拡張作用がありますが、コーヒーに含まれるカフェインもテオフィリンと同じような構造・作用があるため、喘息の薬をコーヒーで飲むと、相互作用が薬が効きすぎたり 、体内でテオフィリンが代謝されるのを抑制 してしまう可能性もあります。
体内でテオフィリンの血中濃度が高くなると頭痛や嘔吐といった副作用もある ので注意が必要です。
抗生物質とコーヒーで不眠になりやすくなる?
体内の細菌の増殖を防いだり、増えてしまった細菌を倒したりする役目のある抗生物質。
コーヒーと一緒に飲んでしまうと、抗菌薬でも特にキノロン系と呼ばれる抗生物質はカフェインの体内での分解を抑制する働き があります。
そのためカフェインが長く体内に残って中枢神経を刺激し続けるので、不眠や神経過敏、いらいらなどといった症状 が現れることがあります。
睡眠薬とコーヒーで薬の効き目が薄れる?
最近では、ドラッグストアなどでも睡眠導入をサポートしてくれる市販薬が販売されているため、不眠症の方以外でも睡眠薬を飲む機会が増えています。
しかし、コーヒーと一緒に飲んでしまうと、コーヒーに含まれるカフェインの覚醒作用が働き、睡眠薬の効き目が薄れて思ったような効果が得られないことがあります。
抗精神薬とコーヒーの組み合わせで神経過敏に?
うつ症状などに処方される抗精神薬はコーヒーで飲んでしまうと、相互作用で予想外の効果が現れることがあります。
抗うつに処方される薬の中には、カフェインの分解を抑制する働き があるものもあるため、コーヒーで薬を飲むとカフェインが中枢神経を刺激し続けて神経過敏や不眠、いらいらの原因になる ことがあります。
また抗てんかん薬として処方される薬の中には、カフェインが薬剤の働きを弱めてしまう可能性 があるものがあります。
不安な場合はお医者さんに相談
ご紹介した例を見ると、薬を飲む時にはやはり一杯の水や白湯で飲むのが大切なことがわかります。
今回の記事でご紹介した薬とコーヒーの組み合わせはあくまで一例です。
また同じ薬でも配合されている成分が違うこともあるため、薬を飲む時には念の為お医者さんに相談することをおすすめします。