ブラジル、ベトナム、コロンビアに続き、世界第4位のコーヒー豆生産量を誇るインドネシア。
日本ではコーヒー豆の産地として、“インドネシア”よりも“マンデリン”のほうが知名度が高いかも知れません。
より美味しいインドネシア産のコーヒー豆を楽しめるように、今回はインドネシアのコーヒー豆の特徴や歴史、種類、選び方などについて詳しく見ていきましょう。
INDEX
インドネシアのコーヒーの特徴
インドネシアは世界で最も多くの島を国土に持つ国です。
多くは赤道直下で、インド洋と太平洋に挟まれています。
中でもジャワ・スマトラ・スラウェシの3つが大きな島です。
ちなみにスマトラ島だけで日本の本州の2倍ほどの面積があります。
コーヒー産地としてのインドネシア
インドネシアには、気温・日照・降雨・標高・土壌とコーヒー栽培に必要とされる条件が揃っています。
特にインドネシアは土壌に恵まれています。
インドネシアの多数の島々は火山から成っており、土壌は火山灰や溶岩が風化してできているため、ミネラルなどの成分に富みコーヒーの栽培に最適です。
コーヒーの生産の約60%はスマトラ島で行われており、有名なマンデリンもスマトラ島北部で栽培されています。
残りは約12%がジャワ島、約9%がスラウェシ島(トラジャやカロシの生産地)、約8%がバリ島で生産されています。
インドネシアのコーヒーの歴史
インドネシアのコーヒー栽培の歴史は1699年までさかのぼり、当時オランダ人がインドからジャワ島にコーヒーの移植したのが始まりです。
しかし、1877年にセイロンで発生したさび病がインドネシアにも伝わり、当時栽培されていたアラビカ種のほとんどのは壊滅的な被害を受けます。
その後、病害に弱いアラビカ種のコーヒー豆から、カネフォーラ種(ロブスタ種とも言う)に植え替えが20世紀になって進みました。
現在では、アラビカ種の生産はわずか10%ほどで、大部分はカネフォーラ種です。
一般的にアラビカ種の方が香味に優れ、品質が高いと言われますが、インドネシアのカネフォーラ種のコーヒー豆には独特な強い苦味と香りがあるため、ブレンドコーヒーのアクセントとしてよく用いられています。
*特に“ジャワ・ロブスタ”が有名
香味に優れないカネフォーラ種のコーヒーを何とか美味しく飲もうと試行錯誤して生まれたのが長時間水で出す抽出方法だったのです。
インドネシアのコーヒーの栽培
インドネシアのコーヒー農家のほとんどは農園面積1~2haの小規模農園です。
大規模な機械式農園ではないので、今でも人の手で丁寧に栽培から収穫まで行われています。
そして先程、生産されるコーヒー豆の約90%がカネフォーラ種であるとお伝えしましたが、日本にインドネシア産のコーヒー豆として輸入されるほとんどのコーヒーは残りの10%のアラビカ種です。
アラビカ種は主にスマトラ島やスラウェシ島、バリ島、ジャワ島で栽培されています。
世界的に見ても珍しい“スマトラ式”
インドネシアの特にスマトラ島では、「スマトラ式」と呼ばれる独自の精製方法を採用しているのが特徴です。
スマトラ式では、コーヒーチェリーが収穫されたらその日のうちに小型の果肉除去機で果肉を除去してパーチメントの状態にします。
それを数時間かけて一時乾燥させたら、水分値の高いまま脱穀した後、天日干しにして二次乾燥にかけて完成です。
スマトラでは季節によって毎日のようにスコールが降るため、このようにできるだけ早く乾燥させる精製方法が編み出され、定着したようです。
インドネシア産コーヒー豆の味の特徴
インドネシアのコーヒー生産量の大部分を占めるカネフォーラ種は独特な苦味と香りが特徴なのですが、日本ではほとんど出回っていないため省略します。
(ネット通販なら購入できますので試してみたい方はぜひ)
在来種であるアラビカ種のコーヒー豆は、クリームに例えられるほどまろやかな苦味とコクが特徴です。
また島によって微妙に栽培環境が異なるため、生産地によって異なる独特な香りが楽しめるのもインドネシア産のコーヒー豆のおもしろいところです。
インドネシアのコーヒーの種類と選び方
特にインドネシアでおすすめのコーヒーの種類をご紹介します。
選ぶ際に参考にしていただければと思います。
スマトラ島で栽培される“マンデリン”
コーヒーの女王とも呼ばれ、日本でも抜群の知名度のマンデリン。
マンデリンはスマトラ島北部で生産されるアラビカ種のコーヒーのことです。
ちなみに初め、マンデリン族が栽培を行っていたことからマンデリンという名前が付いたそうです。
なめらかなコクが最大の特徴で、酸味もほとんど感じられないため、コーヒーが苦手な方でも「マンデリンは飲める」という方も多いです。
インドネシアの生産量のわずか5%という希少性と、コーヒー豆としての高い品質から高級豆として取引されています。
スラウェシ島で栽培される“トラジャ”
スラウェシ島のトラジャ地方で栽培されたコーヒーがトラジャです。
かつてオランダ王室の御用達とされていたコーヒーで、「幻のコーヒー」とも呼ばれていました。
原種に近いティピカ種(アラビカ種の在来種)を丁寧に栽培し、手摘みされて作られるトラジャは、力強いコクとなめらかな苦味、芳醇な香りと豊かな甘味が特徴です。
日本でもコーヒーショップで飲もうとするとかなり高額ですが、ネット通販ならコーヒーショップよりもリーズナブルにいただけるので、本物のグルメコーヒーを楽しんでみるのはいかがでしょうか?
同じくスラウェシ島で栽培される“カロシ”
トラジャと同じくスラウェシ島で生産されるカロシも非常に品質の高いコーヒー豆です。
上品な風味にコク、柔らかな苦味があり、酸味が控えめなのが特徴です。
愛飲家はもちろん、コーヒーをそんなに普段飲まない方でもおいしく飲める日本人好みの味わいです。
インドネシア産コーヒー豆のおすすめの飲み方
- 焙煎
インドネシアの独特な苦味とコクを活かしきるために“シティーロースト“か“フルシティーロースト”のちょっと深めの焙煎がおすすめ。 - 飲み方
もちろん最初はストレートで。フレンチプレスでオイル分まで抽出すると、マンデリンなど島によって違うインドネシアのコーヒーの特色を味わいやすいです。
また、ちょっともったいない気もしますが、コクのしっかりしたインドネシアのコーヒー豆はカフェオレにしても最高です。
インドネシアのコーヒー豆の等級について
インドネシアのコーヒー豆の等級は、300g中の欠点豆の数によって決まっています。
インドネシアの等級の決まり方 | |
等級 | 欠点豆の数 |
SP G1 | G1でも特に風味に優れるもの |
G1 | 0個~11個 |
G2 | 12個~25個 |
G3 | 26個~44個 |
G4 | 45~80個 |
G5 | 81~150個 |
マンデリンやトラジャなどでも、「マンデリン G1」といった具合に等級も記載されることが多いです。
インドネシア産のコーヒーを楽しもう
コーヒーの栽培に必要な条件が揃った環境で作られるインドネシアのコーヒー豆。
ほとんどはカネフォーラ種ですが、日本で流通しているアラビカ種のマンデリンやトラジャ、カロシは非常に滑らかでコクの豊かなグルメコーヒーです。
少し値段は張りますが、自分へのご褒美においしいインドネシアのコーヒーを飲んでみるのはいかがでしょうか?