
グアテマラのコーヒーというと、「酸味があってコクもある」「SHBという等級をよく見る」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、実際のグアテマラはアンティグア、ウエウエテナンゴ、アティトランなど産地ごとの違いがかなり大きく、品種や精製方法によっても味は大きく変わります。
この記事では、グアテマラコーヒーの味や香り、主要産地、SHBの意味、代表的な品種、アゾテア農園やエル・インヘルト農園まで詳しく紹介します。豆選びで迷っている方も、自分の好みに合うグアテマラを探してみてください。
グアテマラコーヒーは、華やかな香り・きれいな酸味・甘み・しっかりしたコクを楽しめるのが魅力です。
初めてならバランスのよいアンティグア、果実味を楽しみたいならウエウエテナンゴが選びやすいでしょう。
なお、よく見かけるSHBは標高を基準にした等級です。「SHB=必ず一番おいしい」という意味ではないため、産地・農園・品種・精製方法も一緒に確認するのがおすすめです。
グアテマラコーヒーの味の特徴
グアテマラのコーヒーを一言で表すなら、「明るい酸味と甘み、しっかりしたコクをバランスよく楽しめるコーヒー」です。
ただし、グアテマラは山岳地帯や火山、湖周辺、湿潤な地域など栽培環境が非常に多様です。
そのため、すべてのグアテマラ豆が同じ味になるわけではありません。
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| 特徴 | 傾向 |
|---|---|
| 香り | フローラル、チョコレート、キャラメル、果実など |
| 酸味 | 明るく上品。産地によって柑橘・ブドウ・果実系まで幅がある |
| 甘み | キャラメルやハチミツを思わせる甘さを感じる豆も多い |
| コク | 中程度~しっかり。深煎りではチョコレート系の厚みも出やすい |
| 向いている飲み方 | まずはブラック。ハンドドリップで産地の違いを楽しみやすい |
私がグアテマラの面白さだと思うのは、焙煎度によって表情がかなり変わるところです。
浅~中煎りなら柑橘や赤い果実を思わせる明るい酸味が出やすく、中深煎りではチョコレートやキャラメルのような甘香ばしさとコクが目立ってきます。
「酸味のあるコーヒーは苦手」という方も、古くなったコーヒーの酸っぱさとは別物なので、鮮度のよい中煎りのグアテマラを一度試してみると印象が変わるかもしれません。
グアテマラは産地によって味が違う|代表的な8地域

グアテマラの大きな特徴が、同じ国の中でも地域によってコーヒーの個性が大きく変わることです。
グアテマラ全国コーヒー協会のAnacaféでは、代表的なコーヒー産地を8つの地域に分けて紹介しています。
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| 産地 | 味わいのイメージ |
|---|---|
| アンティグア | チョコレート、キャラメル、甘み、上品な酸味、バランス |
| ウエウエテナンゴ | ブドウや果実を思わせる明るい酸味、ジューシーなコク |
| アティトラン | 柑橘系の酸味、香り、しっかりしたボディ |
| アカテナンゴ | キャラメル、柑橘、長い余韻 |
| フライハネス | チョコレート、キャラメル、明るい酸味 |
| コバン | フルーツ、キャラメル、複雑な酸味 |
| ニューオリエンテ | チョコレート系、穏やかな酸味、丸みのあるコク |
| サンマルコス | 花を思わせる香りと明るい酸味 |
なかでも日本で見かける機会が多いのが、アンティグアとウエウエテナンゴです。
アンティグア|甘み・酸味・コクのバランスがよい王道産地
グアテマラを代表する産地として、まず名前が挙がるのがアンティグアです。
火山に囲まれた地域で、火山性の土壌や昼夜の寒暖差など、コーヒー栽培に適した条件がそろっています。
味わいは、チョコレートやキャラメルを思わせる甘さ、上品な酸味、しっかりしたコクのバランス型。
強烈な個性で驚かせるというより、「これなら毎日飲みたい」と感じやすいまとまりのよさがアンティグアの魅力です。
「Genuine Antigua」で守られてきた産地ブランド
アンティグアは世界的に知られる人気産地だけに、産地名の真正性を守る取り組みも行われてきました。
アンティグアの生産者によって組織されたAPCA(Genuine Antigua Coffee Producers Association)では、産地や品質などの基準を満たしたコーヒーについて「Genuine Antigua」の認証・表示を行っています。
またAnacaféのカッピングラボでも、アンティグアの原産地呼称に関わるカップ品質の検証が行われています。
つまりアンティグアは、単に有名な産地というだけではなく、「アンティグア産であること」そのものを守ってきたブランド産地でもあるわけです。
迷ったらこれ。上品な酸味と甘さ、コクのバランスを楽しみたい方へ。
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ウエウエテナンゴ|果実味と華やかな酸味を楽しみたい人に
もう一つ、ぜひ覚えておきたいのが北西部のウエウエテナンゴ(Huehuetenango)です。
標高の高い山岳地帯にコーヒー農園が広がり、アンティグアとは違った華やかな個性を持つコーヒーが多く生産されています。
代表的な特徴は、ブドウや赤い果実を思わせる明るい酸味と、ジューシーな口当たり。
「グアテマラ=チョコレート系で重め」というイメージしかない方が飲むと、かなり印象が変わると思います。
近年はゲイシャやパカマラなどの品種、ナチュラルやハニーといった精製方法による個性的なロットも注目されています。
華やかな香りとジューシーな果実味を楽しみたい方へ。
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グアテマラで栽培される品種|アラビカ種が中心
グアテマラのコーヒー栽培はアラビカ種が中心ですが、低地などではロブスタ種も栽培されています。
また「アラビカ種」と一口にいっても、その中にはさまざまな品種があります。
グアテマラで見られる代表的な品種には、次のようなものがあります。
- カトゥーラ
- カトゥアイ
- ブルボン
- ティピカ
- パチェ
- パカマラ
- ムンドノーボ
- ゲイシャ
- カティモール系・サルチモール系
以前の記事では「ブルボン種が一番多い」と紹介していましたが、現在のグアテマラでは品種構成が多様化しています。
豆を選ぶときは、産地だけでなく品種名まで記載されている商品を見ると、コーヒーの違いをさらに楽しみやすくなります。
精製方法|ウォッシュドだけでなくナチュラル・ハニーも増えている
グアテマラでは伝統的にウォッシュド(水洗式)のコーヒーが多く、生産されてきました。
ウォッシュドは果肉やミューシレージを取り除いてから乾燥させるため、比較的クリーンで産地や品種の特徴を感じやすいのが特徴です。
一方、スペシャルティコーヒーの世界では近年、
- ナチュラル:果実のまま乾燥させる
- ハニー:ミューシレージを一部残して乾燥させる
- 発酵工程を工夫した特殊プロセス
なども見られるようになっています。
同じウエウエテナンゴやアンティグアでも、ウォッシュドとナチュラルではかなり味が変わります。
産地+品種+精製方法まで見るようになると、豆選びが一気に面白くなります。
グアテマラコーヒーの等級|SHBとは?
日本でグアテマラ豆を探していると、商品名に「SHB」と書かれているのをよく見かけます。
SHBとはStrictly Hard Bean(ストリクトリー・ハード・ビーン)の略です。
グアテマラでは伝統的に、コーヒーが栽培された標高を基準として豆を区分してきました。
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| 等級 | 名称 | 標高の目安 |
|---|---|---|
| SHB | Strictly Hard Bean | 約1,350m以上 |
| HB | Hard Bean | 約1,200~1,350m |
| Semi Hard | セミ・ハード | 約1,050~1,200m |
| Extra Prime | エクストラ・プライム | 約900~1,050m |
| Prime | プライム | 約750~900m |
| Extra Good | エクストラ・グッド | 約600~750m |
| Good | グッド | 約600m以下 |
※流通時の名称や区分表記には違いが見られる場合があります。

SHBだから必ず一番おいしいわけではない
ここは少し注意したいところです。
SHBは「味の点数」ではなく、基本的には標高を基準にした区分です。
標高の高い場所では昼夜の寒暖差が大きくなり、コーヒーチェリーがゆっくり成熟しやすいため、密度の高い豆になりやすいと考えられています。
ただし、実際の味は、
- 産地
- 農園
- 品種
- 収穫・選別
- 精製方法
- 焙煎
- 鮮度
など多くの条件で変わります。
SHB=品質を判断する一つの目安。ただし「SHBだから絶対においしい」ではない、という覚え方がよいでしょう。
産地に迷ったら、まずは定番のSHBから。
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グアテマラコーヒーの歴史|18世紀から続くコーヒー文化
グアテマラにコーヒーが入ってきた正確な時期や経路については、はっきり断定できません。
ただ、18世紀にはすでにアンティグア周辺でコーヒーが知られ、庭などでコーヒーノキが育てられていた記録があります。
その後、19世紀になるとコーヒー栽培が本格化し、グアテマラを代表する輸出農産物へと成長していきました。
現在ではコーヒーは単なる輸出商品ではなく、グアテマラの文化や地域社会と深く結びついた存在になっています。
グアテマラコーヒーを支えるANACAFE
ANACAFE(Asociación Nacional del Café/グアテマラ全国コーヒー協会)は、1960年11月4日に設立されたグアテマラのコーヒー産業を代表する組織です。
旧記事では1969年設立としていましたが、これは1969年のコーヒー法と混同したものです。
ANACAFEでは、
- 生産者への技術支援
- コーヒーの研究
- 品質管理・カッピング
- 産地ブランドの形成
- 国内外でのプロモーション
- 生産・輸出に関する情報提供
など幅広い活動を行っています。
1990年代からはグアテマラコーヒーの地域性を明確にする取り組みを進め、現在知られている8つの代表的な産地も、こうした産地ブランド戦略の中で確立されてきました。
「グアテマラ」という国名だけではなく、どの地域・どの農園で作られたコーヒーなのかまで追えることが、グアテマラコーヒーの大きな魅力です。
グアテマラのおすすめ・有名農園
グアテマラには数多くの優れた農園があります。
ここでは、この記事で特に知っておきたい2つの農園を紹介します。
アゾテア農園|アンティグアで長い歴史を持つ農園
アゾテア農園(Finca La Azotea)は、アンティグア周辺で長い歴史を持つコーヒー農園です。
1883年から同じ一族によって受け継がれてきた歴史があり、現在はコーヒー農園としてだけではなく、コーヒー文化を紹介する施設としても知られています。
アンティグアらしい甘み・上品な酸味・コクを楽しみたい方なら、農園名で豆を探してみるのも面白いでしょう。
「グアテマラ SHB」だけで選んでいた方も、次の一歩として農園単位で飲み比べると、さらに違いが分かりやすくなります。
アンティグアを農園単位で楽しみたい方へ。
\ アゾテア農園の豆を探してみる /
エル・インヘルト農園|世界でも注目されるウエウエテナンゴの名門
ウエウエテナンゴを代表する農園の一つがエル・インヘルト農園(Finca El Injerto)です。
長年にわたり高品質なスペシャルティコーヒーを生産してきた農園で、Cup of Excellenceでもたびたび名前が登場します。
そして2026年のGuatemala Cup of Excellenceでは、El Injerto Iのナチュラル・ゲイシャが91.86点を獲得しました。
さらにオークションでは、このロットを分けた1Cロットが449.10ドル/lbという価格で落札され、グアテマラCOE史上でも大きな話題となりました。
449.10ドル/lbで落札された1Cは、重量わずか33.1lbの特別な小ロットです。
「エル・インヘルトの豆は通常1lb=449ドル」「グアテマラの高級豆はこの価格」という意味ではありません。
同じEl Injerto Iでも、分割された1A・1Bは別の価格で落札されています。
この記録から分かるのは価格そのものより、グアテマラ、とりわけウエウエテナンゴが世界のスペシャルティ市場から高く評価されているということです。
グアテマラコーヒーの選び方
ここまで読んで「種類が多すぎて、結局どれを買えばいいの?」と思った方もいるかもしれません。
最初は難しく考える必要はありません。

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| 好み | おすすめ |
|---|---|
| 初めてグアテマラを飲む | アンティグア |
| 甘み・コク・バランス重視 | アンティグア |
| フルーティーな酸味が好き | ウエウエテナンゴ |
| 華やかなスペシャルティが好き | ウエウエテナンゴ+ゲイシャ・パカマラなど |
| まず分かりやすい規格から選びたい | SHB |
| さらに深く楽しみたい | 農園名+品種+精製方法で選ぶ |
個人的には、最初の1袋ならアンティグアの中煎り~中深煎りが分かりやすいと思います。
そこからウエウエテナンゴへ移ると、「同じグアテマラでもこんなに違うのか」と産地差を感じやすくなります。
グアテマラコーヒーのおすすめの飲み方
グアテマラのコーヒーは、まずブラックで飲んでみるのがおすすめです。
特に産地や農園が明記されたシングルオリジンなら、ミルクや砂糖を入れる前に一度そのまま飲んでみてください。
浅煎り~中煎り
柑橘、ブドウ、ベリー、花を思わせる香りや酸味を楽しみやすくなります。
特にウエウエテナンゴや、ゲイシャ・パカマラなど個性のある豆と相性がよい焙煎です。
中煎り~中深煎り
グアテマラらしい甘み・酸味・コクのバランスが分かりやすくなります。
アンティグアを初めて飲むなら、このあたりから試すとよいでしょう。
深煎り
酸味が穏やかになり、チョコレートやカカオ、香ばしさ、重厚なコクが出やすくなります。
ブラックはもちろん、ミルクを加えて飲みたい方にも向いています。
グアテマラコーヒーについてよくある質問
グアテマラコーヒーは酸味が強いですか?
一概には言えません。
高地産のグアテマラには明るくきれいな酸味を持つものが多いですが、アンティグアの中深煎りなどでは、甘みやチョコレート系のコクとのバランスがよくなります。
酸味が苦手なら中深煎り~深煎りから選ぶと飲みやすいでしょう。
SHBがグアテマラで一番おいしい等級ですか?
SHBは標高による区分なので、味の順位そのものではありません。
豆の品質や風味を見るなら、SHBだけでなく、産地・農園・品種・精製方法・焙煎も確認してください。
アンティグアとウエウエテナンゴならどちらがおすすめ?
好みで選びましょう。
甘み・チョコレート感・コク・バランスを求めるならアンティグア。
ブドウや果実を思わせる華やかな酸味・ジューシーさを楽しみたいならウエウエテナンゴが選びやすいです。
グアテマラの最高峰・高級コーヒー豆はどれ?
農産物なので、「この農園、この豆が絶対に最高」と一つに決めることはできません。
ただ、世界的に知られる名門の一つとして挙げられるのが、ウエウエテナンゴのエル・インヘルト農園です。
2026年のCup of ExcellenceではEl Injerto Iのナチュラル・ゲイシャが91.86点を獲得し、分割された33.1lbの1Cロットが449.10ドル/lbで落札されました。
ただし、これはごく少量の特別なオークションロットです。
家庭で楽しむ豆なら価格だけで判断せず、アンティグアやウエウエテナンゴなどの産地、農園、品種、精製方法を見ながら選ぶ方が、自分好みの豆を見つけやすいでしょう。
グアテマラコーヒーは産地を意識するともっと面白い

グアテマラは、世界的にも高品質なコーヒーの産地として知られています。
ただし、「グアテマラだからこの味」と一括りにするには、あまりにも産地の個性が豊かです。
- 王道のバランスを楽しむならアンティグア
- 華やかな果実味ならウエウエテナンゴ
- SHBは標高による等級で、味の順位ではない
- さらにこだわるなら農園・品種・精製方法を見る
最初は「グアテマラ SHB」と書かれた豆を選ぶだけでも十分です。
そこからアンティグア、ウエウエテナンゴ、農園、品種へと少しずつ掘り下げていくと、同じ国のコーヒーとは思えないほどの違いが見えてきます。
ぜひいくつか飲み比べながら、あなたの好みに合うグアテマラコーヒーを見つけてみてください。











