アフリカ東部、緑豊かな丘陵地帯が広がる国ウガンダ。
あまり知られていませんが、「アフリカの真珠」と呼ばれたこともあるこの国もコーヒーの生産に力を入れています。
以前は栽培されるほとんどがロブスタ種でしたが、最近はブルーナイルを始め、特徴的なアラビカ種コーヒーの人気が高まっています。
コーヒー産地としての知名度も上がってきていますが、今回はそんなウガンダのコーヒーの特徴と魅力についてご紹介します。
INDEX
ウガンダのコーヒー豆の特徴
- ウガンダのコーヒー年間生産量:211,200トン
- 世界シェア: 2%
- 生産国量ランキング:10位
※2018年度調査(FAO国連食糧農業機関による統計より)
ウガンダは、アフリカでも有数のコーヒー生産国で、アフリカ大陸でのコーヒー生産量は、エチオピアに次いで第2位。
ただし、その約8割はブレンドなどに使われるロブスタ種です。
コーヒー豆産地としてのウガンダ
赤道直下に位置するウガンダは熱帯性気候ですが、高地では年間を通して快適な気温とコーヒー栽培に適した肥沃な土壌に恵まれています。
ロブスタ種の主な栽培は、南部のビクトリア湖沿岸を始め国中で広く行われており、アラビカ種は、標高の高い山岳地域で育てられています。
有名な地域は、東部のケニア国境のエルゴン山や、西部のルウェンゾリ山地。
このほか、北西の西ナイル地域があげられます。
ウガンダ産アラビカ種の中でも、標高1800m以上のエルゴン山の斜面に位置するブギス産のコーヒーは「ブギスコーヒー」と言われ、ケニアやタンザニアなどの高級豆に引けをとらない評価を得ています。
ウガンダのコーヒー豆の歴史
ウガンダでのアラビカ種コーヒーの歴史は、近隣国と同じようにヨーロッパによる入植の時代にエチオピアより持ち込まれて始まります。
一方で、ロブスタ種はもともとウガンダ土着のものでした。
20世紀初頭からアラビカコーヒーの栽培は本格化し、1914年頃には入植者やアジア人による135のプランテーションがあったそうです。
しかし、その後コーヒー価格の暴落で撤退。
ウガンダコーヒーの栽培は、小さな個人農園が継続することになりました。
その後、植民地政府が生産に力を入れたことで、徐々に生産量が回復しますが、1962年に独立すると、今度は度重なる政変、軍事クーデターなどの政情不安から紛争の時代を迎えます。
国の経済はもちろん、コーヒー生産も後退してしまいます。
しかし、その後政府が国のコーヒー産業を支援するために、コーヒー価格や流通量を調整しはじめます。
また、昨今のコーヒーの需要や、コーヒー産業の自由化を追い風に、高価で取引されるアラビカ種コーヒーの生産に力を入れてきています。
ウガンダのコーヒー豆栽培
ウガンダで栽培されているアラビカ種は、ティピカを始め、SL14、SL28、そしてケントです。
ウガンダのコーヒー栽培は、100万人以上の小規模農家によって支えられており、2.5ヘクタール未満の小さな個人農園では、コーヒーが手作業で有機栽培されています。
ウガンダコーヒーの収穫は10月~2月。
コーヒー豆の精製方法は、ウォッシュト(水洗方式)です。
貧しいウガンダのコーヒー農家には、コーヒー豆の加工インフラが不足しているため、コーヒーチェリーを適切に精製できないデメリットがありました。
しかし、最近では農業組合の発達やウガンダコーヒーに潜在性を見出した欧米企業によって、豆の加工過程を支援するケースが増えています。
手作業でパルプ化するのではなく、最新式のウェットミルで加工することで、価値が高く、国際市場で競争力のあるコーヒー豆が作れるようになってきました。
ウガンダのコーヒー豆の味の特徴
ウガンダのアラビカ種コーヒーの特徴は、東アフリカのコーヒーらしく豊かな風味とワインの酸味、甘みが感じられる一方、複雑なテクスチャーはなく、すっきりとしています。
また、アフリカらしい野性味よりも控えめの酸味とフルーティな香りが魅力で、ダークベリージャムのような風味と口当たり、バターのようなコクが味わえるコーヒーもあり、多様性に豊んでいます。
スペシャリティコーヒーで巻き返しを図るウガンダコーヒー
植民地から独立後のウガンダは、政情不安から紛争へと混乱期が長く続きましたが、現政権が発足した1986年以降安定しています。
それまで停滞していたコーヒー産業が自由化され、ようやく成長期を迎えることができました。
ウガンダのヨウェリ・ムセベニ大統領は、貧困撲滅と継続的な経済成長を目指すため、毎年300万本のコーヒー苗木を配布する目標をたてています。
コーヒーは、ウガンダにとって大事な現金収入源。
ウガンダでは、高品質ロブスタと共に、高値で取引されるアラビカ種のスペシャリティコーヒーの栽培にも力を入れています。
ウガンダのブルーナイルとは
ウガンダのスペシャリティコーヒーといえば「ブルーナイル」です。
ブルーナイルとは、ウガンダのアラビカ種コーヒーの産地、エルゴン山の山岳地帯ブギス地区で生産されたコーヒーのブランドで、SCAA(米スペシャリティコーヒー協会)の関連団体認定の最高ランク、世界規格Qグレードに入る豆のことを指しています。
ブルーナイルは、ブギスらしいまろやかな口当たりとしっかりとしたコク、フルーティでありながら酸味控えめなすっきりとした飲み口が特徴です。
おすすめの飲み方
ウガンダコーヒーの特徴を、ダイレクトに楽しむおすすめの飲み方は、中深煎り・中挽きで、できればネルドリップでいれてみましょう。
他の東アフリカ産のコーヒーに比べて、ウガンダ産は酸味控えめですっきりとした後口です。
そのため、豆を焙煎しすぎるとその個性が失われ、酸味メインで浅煎りにしても全体的に薄すぎる結果になってしまうことも…。
ネルドリップは、ハンドドリップした時に最も味の特徴を出しやすい淹れ方です。
自由度の高い抽出方法で、老舗のコーヒー店やコーヒーファンに根強い人気があります。
ウガンダのコーヒー豆の等級について
ウガンダのコーヒー豆の等級は、豆の大きさ(S:スクリーンサイズ)と欠点豆数の割合で決められています。
また、ブギスなどの有名産地の場合、地域名も等級の条件です。
等級 | 条件 |
Bugisu AA | ブギス産でS19以上が90%以上、残りはS16以上の豆。欠点豆は10%未満 |
Bugisu A | ブギス産S16以上が90%以上、残りはS15以上の豆。欠点豆10%未満 |
Wugar(ウガール) | ブギス以外の地域の豆(ウォッシュト) |
Drugar(ドゥルガール) | 乾燥式の豆(ナチュラルドライ) |
※更に下の等級は「B」~「C」と続きますが、日本国内にストレートコーヒーとして出回ることはほとんどありません。
おすすめのウガンダコーヒー ブルーナイル
ウガンダ一の高級アラビカコーヒーの生産地であるエルゴン山のブギス地区でとれた最高ランクQグレードだけが名乗れる「ブルーナイル」。
1万軒以上の小規模農家が所属するブギス協同組合で買い付け、首都カンパラにある加工工場で精製された高級豆だけを厳選しパッケージ化しました。
ウガンダ産のコーヒーを、一度試してみたいという方にぴったりの高品質コーヒーです。
おすすめのウガンダコーヒー オーガニックコーヒー Sipi Falls農園
Sipi Falls農園のウガンダコーヒーは、ギリシャのコーヒー商社Kawacom社が始めた「品質重視プロジェクト」によって実現した100%オーガニック認証コーヒーです。
同社のプロジェクトに賛同した意欲的なコーヒー農家は、シピ滝(Sipi Falls)付近に建設された最新型のウェットミルで、コーヒー豆の加工を行っています。
契約農園で育てられたコーヒーで、人と環境にやさしいウガンダコーヒーの魅力をご体感ください。
アフリカの真珠から届くウガンダコーヒーを楽しもう
ロブスタ主流の生産から、スペシャリティコーヒーへ挑戦し続けているウガンダのコーヒー産業。
政情が安定し、これからという地点に立ったウガンダにとって、有機アラビカコーヒーは、国を支える自然の恵みといえるでしょう。
2016年に、UAEバリスタチャンピオンシップのファイナリスト、ダニービー氏は、ウガンダコーヒーの魅力について…
「ウガンダコーヒーのフルーティなトマトからフローラルのような幅広いフレーバーは、コーヒー栽培に最適な豊富な日光と雨による賜物である」
とコメントしています。
いつもと違った昼下りのコーヒーにウガンダコーヒーを試してみるのはいかがでしょうか?
これからもウガンダ産のスペシャルティコーヒーの発展に目が離せません。