
コーヒーの生豆を自宅で焙煎する方にとって、なかなかはっきりした答えが出ないのが
“生豆の水洗い”です。
実際、自家焙煎の世界では「洗う派」と「洗わない派」があり、どちらが絶対に正解とまでは言い切れません。
そこで今回は、同じ豆を使って3種類の方法で実際にテストし、どのように違いが出るのかを比べてみました。
試したのは、
①洗わずにそのまま焙煎、
②常温の水で1分間洗浄、
③60度の温水で1分間洗浄の3パターンです。
これからの自家焙煎に役立ててもらえるように、手順と結果、そして実際にやってみて感じたことをそのまままとめます。
この記事でわかること
- 生豆の水洗いにメリット・デメリットがある理由
- 洗わない・常温水・60度温水の3条件での実験手順
- 3種類を飲み比べた実際の結果
- 水洗いするなら常温水と60度温水のどちらがよかったか
- 興味がある方が自分でも試す時のヒント
INDEX
コーヒー生豆を水洗いするメリットとデメリット

コーヒーの焙煎業者の中にも、生豆はそのまま焙煎するところと、水洗いしてから焙煎するところに分かれます。
プロの業者に限れば、“洗わない”ところが大多数でしょう。
では、生豆の水洗いにはどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
よく言われるのは、次のような点です。
- 汚れが落ちる
- 余分なチャフが落ちる
- 焙煎で芯までふっくらしやすいと言われる
- 旨味成分が流れ出ると言われる
- 手間がかかる
大多数の業者が生豆を水洗いしない一番の理由は、やはり手間の大きさでしょう。
何十キロもの生豆を水洗いして乾燥させるとなると、家庭とは比べものにならないほど大がかりです。
ただし、自宅で少量だけ自家焙煎するのであれば、水洗いそのものはそこまで大変な作業ではありません。
問題は、「水洗いすると味がどう変わるのか」です。
水洗い派の意見は「芯までふっくらする!」、反対派の意見は「旨味成分が流れ出す!」と、かなり真っ向から分かれます。
そこで今回は、実際に3種類の方法で比較してみることにしました。
【結論】3種類の方法で比べた結果
まずは、今回のテスト結果を表でまとめます。
今回の実験では、香りは洗わずにそのまま焙煎した豆が最も強く、味のバランスは60度の温水で洗浄した豆がいちばん良いという結果になりました。
| 洗わずにそのまま焙煎 | 常温の水で洗浄 | 60度の温水で洗浄 | |
| 香り | ◎ | △ | ◯ |
| 味 | △ | ◯ | ◎ |
| チャフ | △ | △ | ◎ |
つまり今回の実験では、「香り重視なら洗わない」「味のまとまりと後片付けのラクさ重視なら60度温水」という印象でした。
実際に3種類の方法でテスト

今回は、同じ種類の生豆を使用して、3種類の洗い方の後、焙煎して飲み比べてみました。
- 洗わずにそのまま焙煎
- 常温の水で1分間洗浄
- 60度の温水で1分間洗浄
使用したコーヒー豆:グアテマラ アンティグア SHB
60度については、「洗うなら50〜60度くらい」と言われることがあるため、今回はその範囲の中で60度前後の温水を使ってテストしています。
60度前後のお湯を手軽に用意したいなら、温度設定のできる電気ケトルがあるとかなり便利です。

1. 3種類の容器に分ける

ピッキングした後の生豆を、青:洗わない、水色:常温の水で洗浄、赤:60度の温水で洗浄と、3つの容器に分けます。
2. 常温水と60度温水でそれぞれ1分間洗う

水色と赤色の容器の生豆は、1分間かけて、常温の水と温水を使って洗浄します。
温水の方は手で触るとやけどしそうなくらい熱いので、お箸などを使うと安全です。
3. 洗った後の水を比較する

生豆を洗った後の水です。
常温の方は透き通っていますが、温水の方は濁って、チャフもたくさん浮いています。
ここはかなり印象的でした。
実際に洗ってみると、想像していた以上に汚れが出てきます。
4. 水気をしっかり拭き取って焙煎する

水洗いしたものはしっかり水気を拭き取り、それぞれを焙煎していきます。
ここで水気が残っていると焙煎の進み方が変わりやすいので、この工程はかなり大事です。
5. 焙煎後、もう一度ハンドピックする

3種類の焙煎が終わった後、取りこぼした不良豆をもう一度ハンドピックします。
このひと手間で、比較の精度も少し上げやすくなります。
6. カッピング方式で飲み比べる

カッピングに使用される抽出方法で、3種類を飲み比べていきます。
香りと味の違いを確認するには、このやり方がわかりやすいと感じました。
実際に飲み比べてどう感じたか

洗わずにそのまま焙煎
香りが一番優れていたのが、そのまま焙煎したコーヒーでした。
焙煎の苦労を忘れられるくらい、芳醇な香りです。
ただ、味は口に含むと気持ちの良い苦みと一緒に、若干のエグミが感じられました。
苦みが前に出やすく、やや単調な印象です。
常温の水で洗浄
スッキリとしたコーヒーらしい香りです。
ただし、焙煎直後だからなのか、期待していたほどの豊かさは感じませんでした。
味もスッキリとしていて飲みやすいです。
その一方で、特徴的な苦みや甘みがやや薄く、良くも悪くも特徴が弱い印象でした。
60度の温水で洗浄
香りからもフルーティーな甘みが感じられ、特徴のはっきりした香りでした。
口に含むと、気持ちの良い苦みが広がり、後からグアテマラならではの甘みが広がってくる印象です。
今回の中では、味のバランスが一番良いと感じました。
おすすめは“60度の温水で洗浄”という結果に

今回テストしてみた結果、グアテマラの特徴をとらえつつ、一番バランスに優れた味になったのは
“60度の温水で洗浄”する方法でした。
また実際に洗浄していると、びっくりするほど汚れが出てきます。
その汚れを見てしまったことで、テストしながら、洗浄していない生豆を焙煎して淹れたコーヒーは気分的に飲むのが大変でした。
これは「洗っていない豆の味が絶対に悪い」という意味ではありません。
あくまで、実際に汚れが出る様子を見てしまったことで、心理的にそのままの豆を飲みにくく感じたということです。
さらに、洗わずにそのまま焙煎したものと、常温の水で洗浄したものは、焙煎しながらチャフがかなり飛び散り、掃除が大変でした。
一方で、温水で洗浄したものは、洗浄の時点でチャフがかなり落ちていたため、焙煎中もほとんどチャフが出ず、後片付けが楽です。
特に、手網やフライパンなど、チャフが飛びやすい方法で自家焙煎している方には、かなり大きなメリットだと思います。
このテーマに正解はひとつではないと思う
今回のテストでは、60度の温水で洗浄したものが最もバランスよく感じられました。
ただし、これはあくまで今回使った豆・今回の焙煎・今回の飲み比べの中で、私がそう感じたという結果です。
実際、生豆の水洗いには洗う派と洗わない派がいます。
香りを重視するなら洗わない方が好みという人もいるでしょうし、手間をかけるほどではないから洗わない、という結論も十分ありだと思います。
だからこそ、このテーマは一般論で決めるより、実際に試してみることに意味があると感じました。
興味があれば、ぜひ自分でも試してみてください

今回のテストでは、生豆を水洗いするべきなのかどうかを確かめるために、実際に3種類で味を飲み比べてみました。
焙煎中もテイスティングしている時も、気分はちょっとした鑑定士のようで、かなり楽しい時間でした。
休みの日にゆっくり時間を使いながら、同じ豆を条件違いで飲み比べるのは、コーヒー好きにとってかなり贅沢な遊びだと思います。
もし興味があれば、ぜひ読者さんも
- 洗わない
- 常温の水で洗う
- 60度前後の温水で洗う
この3種類を少量ずつ試してみてください。
「自分は洗わない方が好き」「やっぱり60度の方がやりやすい」など、新しい発見があるかもしれません。
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