オーストラリアから、海をへだてて北に位置するティモール島。
東側は東ティモール、西側はインドネシアに分かれます。
インドネシアはマンデリンなどコーヒーの産地として知名度が高いですが、実は東ティモールも知る人ぞ知るコーヒー生産国。
東ティモールは手つかずの自然とサンゴ礁の海が美しい東南アジアの小国です。
今回は、東ティモールのコーヒー豆の特徴についてご紹介します。
INDEX
東ティモールのコーヒー豆の特徴
- 東ティモールのコーヒーの年間生産量:8,876トン
- 世界シェア:約0.08%
- 生産国量ランキング:39位
※2018年度調査(FAO国連食糧農業機関による統計より)
東ティモールの国土面積は、約14,900㎢。
関東4都県を合わせたくらいの広さです。
様々な事情から、東ティモールのコーヒー生産量は、決して多くありません。
しかし、近年、オーガニックコーヒーの生産国として各国から注目され人気が高まっています。
コーヒー豆産地としての東ティモール
東ティモールは、環太平洋火山帯に属し、国土の半分以上が山岳地帯になっています。
他のコーヒー生産国と同じように、コーヒーベルトに収まる東ティモールも、乾季と雨季のある熱帯性気候。
コーヒーの栽培で有名な地方は、主に東ティモールの最高峰ラメラウ山(2,963m)周辺。
ラメラウ山は、“聖なる山”という意味の「サントモンテ」と呼ばれ、国のシンボル的存在でもあります。
東ティモールで多くコーヒーを栽培している地域は、エルメラ地区のほか、アイレウやボボナロ、マヌファヒ、リキカなど広範囲に及びます。
標高1300m以上の高地では、朝夕の温度差が大きく、適度な湿度と年間降雨量に恵まれているため、コーヒーの栽培に適した環境が整っています。
東ティモールのコーヒー豆の歴史
コーヒー生産国、東ティモールは他国に支配されてきた国でした。
コーヒー豆の歴史自体は、ポルトガルの植民地時代の1815年、宗主国主導のコーヒーのプランテーション栽培によって始まりました。
しかし、第二次世界大戦では日本軍に占領され、戦後は再びポルトガル領になります。
1975年にようやく独立すると、その後すぐにインドネシア領にされてしまいます。
その間、多くの犠牲と混乱が続きました。
政府がコーヒー生産に力を入れなかったこともあり、それまで東ティモールのコーヒーはあまり注目されませんでした。
長く続いた混乱の後、東ティモールは国連の暫定統治を経て、2002年に正式に独立しています。
90年代後半から独立後、国際機関や日本のODA(政府開発援助)などの援助と協力活動が始まります。
コーヒー産業に関しては、海外のコーヒー企業や日本のJICA(国際協力機構)、NPOから支援が行われています。
もともと経済的に貧しく、化学肥料や農薬を使わずに細々とコーヒーが栽培されていましたが、近年の有機栽培コーヒーへの注目が幸いして、東ティモールコーヒーは生産量は少ないですが100%オーガニックコーヒーの産地として、徐々に復興してきています。
特に、米スターバックスは、1996年から東ティモール産豆を扱い始め、世界に広まるきっかけになりました。
東ティモールのコーヒー豆栽培
東ティモールにとってコーヒーは、国の農作物の重要な品目。
多くの農家がコーヒー生産に携わっていますが、その多くは小規模展開の零細農園です。
コーヒー栽培から加工に至るまで、設備投資する資金がないため、化学肥料や農薬を使わない手作業の有機栽培が行われています。
コーヒーの栽培品種は、ティピカを始め、カティモアや、ロブスタ種とアラビカ種を自然交配させた「ティモールハイブリッド」など。
「ティモールハイブリッド」は、別名「ティムティム」、または「HDT」と呼ばれ、戦前、東ティモールで交配された独自の品種です。
さび病に強く収穫量も多いため、今後、世界のコーヒー産業を脅かすと言われる2050年問題対策として、世界中のコーヒー産地に導入され始めているそうです。
東ティモールコーヒーの一般的な収穫期は、5月から11月。
収穫後のコーヒーチェリーは果肉を除去した後、ウォッシュト(水洗処理)で加工し、天日干しされます。
ウォッシュトでは、収穫したコーヒーチェリーをまず水で洗い流し、“ミューシレージ”と呼ばれるヌルヌルとした粘液質を取り除きます。
水を大量に必要とするのがデメリットですが、欠点豆が少なく、クリーンで均一な豆が精製できるのが大きなメリットです。
生豆は、手作業で粒の大きさを分別した後、麻袋にいれて出荷されるという流れです。
多くの村には協同組合があり、小さな農家が生産したコーヒー豆をまとめています。
そのため、購入する際も農園単位のシングルオリジンではなく、村の地域名の表記された豆が多くなっています。
東ティモールのコーヒー豆の味の特徴
東ティモールコーヒーの味の特徴は、ほろ苦さと甘み、そしてほのかな酸味です。
ダークチョコレートやクルミのようなフレーバ―と豊かな香りが魅力。
また、スターバックスが、中南米産のコーヒーとブレンドして販売したように、東ティモールのコーヒーは他の豆との相性も良く、すっきりとした飲みやすさから、酸味の強いコーヒーが苦手な人におすすめです。
おすすめの飲み方
東ティモールの豆は、ボディ感など個性が強いほうではないため、好きな淹れかたや飲み方で十分にその魅力を発揮できる優しいコーヒーです。
ハンドドリップ派の人も、フレンチプレス派も、モカポットやエアロプレス派まで、コーヒー好きの「こだわり」に柔軟に対応してくれるでしょう。
また、水出しコーヒーにもおすすめです。
現地で愛されるおすすめの飲み方は、インドネシア同様、直接お湯を注いで上澄みを飲むという方式。
砂糖やミルクをたっぷり入れて飲むのだそうです。
東ティモールのコーヒー豆の等級について
東ティモールのコーヒー豆は、インドネシア式に欠点豆の割合からグレード分けをする業者もいますが、多くはあまり等級づけをしていません。
しかし、小規模農家が農薬を使わず、完全有機栽培を行っているため、オーガニック認証を得ているかどうかということは品質判断の決め手になっています。
日本の場合はJAS有機認証、アメリカの場合はUSDAなど。
また、フェアトレード認証やレインフォーレストアライアンス認証も、重要視されています。
おすすめの東ティモールコーヒー レテフォホ村 アラビカ種
東ティモール最高峰のラメラウ山。
麓のレテフォ村で栽培されるコーヒーは、東ティモールコーヒーの中でも高評価とされています。
こちらのコーヒー豆のブランド名は“聖なる山”という意味の「サントモンテ」。
有機JAS認証付きの正真正銘のオーガニックコーヒーです。
コーヒーの生産は、家族経営の小さなコーヒー農家が、栽培から収穫、精製まで丹精込めて行っています。
ほろ苦さとチョコレートのような甘みを味わうことができます。
豆が新鮮なうちに使い切れる100gパックは、4つ以上購入でネコポス送料対応。酸味控えめで甘みと苦味のバランスの良いコーヒーです。
少量から購入できるので東ティモールのコーヒーを試してみたい方はぜひ。
おすすめの東ティモールコーヒー レテフォホ ゴウララ村
レテフォ村で生産されるコーヒーの中でも、日本のNGOの支援によって実現した高品質グルメコーヒーの400g入りです。
品質管理を徹底しています。完熟した赤いコーヒーだけをハンドピッキングし、水洗処理後はしっかりと天日干し。
生豆の選定も怠らず良質の豆だけが集められています。
JAS認証の有機栽培のフェアトレードコーヒーです。
焙煎後24時間以内に発送してくれるので、自宅に届く頃には最適な飲み頃になっています。
東ティモールコーヒーを味わおう
歴史的にみると、他国による支配と混乱期がとても長かった東ティモール。
国際機関や各国のNPOなどの協力を得て、コーヒー新興国として少しずつ成長しています。
2017年に東ティモールコーヒー協会が設立され、今後さらに発展が期待されます。
手作業で丁寧に作られたコーヒーは、いただく時にも大事に淹れて味わってみたいもの。
心休まるコーヒーブレイクや大事な人へのギフトにもどうぞ。