
エルサルバドルのコーヒーと聞いて、「どんな味?」「グアテマラやホンジュラスとは何が違うの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
中央アメリカでは国土の小さな国ですが、コーヒーの世界では、伝統的なブルボンやパカス、エルサルバドルで育成された大粒品種パカマラなど、個性豊かなアラビカ種を楽しめる産地として知られています。
良質な豆では、やわらかな甘み、きれいな酸味、キャラメルやチョコレート、果実を思わせる風味が楽しめます。
この記事では、エルサルバドルコーヒーの味、主要6産地、パカマラなどの代表品種、SHGなどの等級、精製方法から、おすすめの焙煎度・淹れ方・豆の選び方まで分かりやすく解説します。
・味:やわらかな甘みときれいな酸味、バランスのよさが魅力
・代表品種:ブルボン、パカス、パカマラ、クスカトレコなど
・特に注目:エルサルバドルで育成されたパカマラ
・主要産地:アパネカ・イラマテペックなど6つのコーヒー地域
・等級:日本では標高1,200m超の高地豆にSHGという表記をよく見かける
・初めてなら:バランス重視ならブルボン、華やかな個性を楽しみたいならパカマラをチェック
エルサルバドルコーヒーの味|甘みときれいな酸味が魅力

エルサルバドルコーヒーの魅力は、甘み・酸味・コクのバランスにあります。
もちろん、品種や農園、標高、精製方法、焙煎度によって味は変わりますが、良質な豆では、キャラメルやチョコレートを思わせる甘みと、柑橘や赤い果実を思わせるきれいな酸味を感じることがあります。
| 要素 | 感じられることが多い特徴 |
|---|---|
| 甘み | キャラメル、チョコレート、黒糖、熟した果実 |
| 酸味 | オレンジ、リンゴ、チェリーなどを思わせる爽やかな酸味 |
| 香り | フローラル、カカオ、柑橘、果実、スパイスなど |
| 口当たり | なめらかで丸みを感じるものが多い |
| 後味 | 甘みを伴ったすっきりした余韻 |
※味や香りは品種・標高・精製方法・焙煎度などによって変わります。
酸味が強すぎるコーヒーが苦手なら中煎りから
「フルーティーなコーヒーは興味があるけれど、酸味が強すぎるのは苦手」という方なら、まず中煎り程度のエルサルバドルから試してみるのがおすすめです。
浅煎りでは果実感や華やかな酸味が出やすくなりますが、焙煎を少し深くすると、酸味が穏やかになり、キャラメルやチョコレートを思わせる甘香ばしさを感じやすくなります。
エルサルバドルは火山と高地に恵まれたコーヒー産地
エルサルバドルは、グアテマラとホンジュラスに囲まれた中央アメリカの国です。
国土面積は約2万平方kmと小さいものの、火山を伴う山岳地帯が連なり、標高差のある土地でコーヒーが栽培されています。
火山性土壌、標高、地域ごとの気候条件などが組み合わさることで、小さな国の中でもさまざまな個性を持つコーヒーが生まれます。
また、伝統的な品種を守る一方、コーヒーさび病などへの対応として、病害への抵抗性を考えた品種への更新も進んでいます。
エルサルバドルの主要6コーヒー産地

エルサルバドルの公式機関Instituto Salvadoreño del Café(ISC)では、原産地呼称に関わるコーヒー生産地域を6つの山系に分けています。
| コーヒー地域 | 主なエリア |
|---|---|
| アパネカ・イラマテペック | アウアチャパン、ソンソナテ、サンタアナ周辺 |
| アロテペック | チャラテナンゴ、サンタアナ北部のメタパン周辺 |
| バルサモ・ケサルテペック | ラ・リベルタ、サン・サルバドル、ソンソナテ周辺 |
| チチョンテペック | サン・ビセンテ、ラ・パス周辺 |
| テカパ・チナメカ | ウスルタン、サン・ミゲル周辺 |
| カカウアティケ | モラサン、サン・ミゲル周辺 |
※スマホでは表を横にスクロールできます。
中でもアパネカ・イラマテペックは、サンタアナをはじめとした有名産地を含み、日本で販売されるエルサルバドルのスペシャルティコーヒーでもよく見かけます。
また、チャラテナンゴを含むアロテペックからも、パカマラなど個性的なスペシャルティコーヒーが生産されています。
エルサルバドルの代表的なコーヒー品種

エルサルバドルは、伝統的なブルボンだけでなく、パカス、パカマラ、クスカトレコなど、品種の違いを楽しみやすい産地です。
パカマラ|エルサルバドルで育成された大粒品種

エルサルバドルを代表する品種として、ぜひ覚えておきたいのがパカマラ(Pacamara)です。
パカマラは、エルサルバドルのコーヒー研究機関で、
パカス(Pacas) × マラゴジッペ(Maragogipe)
を交配して育成された品種です。
マラゴジッペの特徴を受け継いだ大粒の豆が目を引きますが、本当の魅力はサイズだけではありません。
優れたロットでは、花、柑橘、トロピカルフルーツ、熟した果実、スパイスなどを思わせる、複雑で華やかな香りを楽しめることがあります。
高いカップ品質を持つロットがCup of Excellenceなどで評価されることもあり、「エルサルバドルならではの個性を味わいたい」人に注目してほしい品種です。
ただし、パカマラならすべて同じ味になるわけではありません。農園、標高、精製方法、焙煎によって印象は大きく変わります。
ブルボン|エルサルバドルの伝統を支えてきた品種
ブルボン(Bourbon)は、長くエルサルバドルで栽培されてきた伝統的なアラビカ品種です。
病害への耐性は高くありませんが、適した環境で丁寧に栽培されたものは、高いカップ品質を期待できる品種として知られています。
中煎りから中深煎りにすると、キャラメルやチョコレートを思わせる甘みと、丸みのある口当たりを楽しみやすくなります。
パカス|1949年にエルサルバドルで発見
パカス(Pacas)は、ブルボンから自然に生まれた突然変異品種です。
1949年にサンタアナ地域のパカス家の農園で発見され、その後、エルサルバドルのコーヒー研究機関で選抜が進められました。
ブルボンより樹高が低く、木を密に植えやすいのが栽培上の特徴です。
そして、このパカスとマラゴジッペを交配して育成されたのが、先ほど紹介したパカマラです。
クスカトレコ|現在の生産を支える重要品種
以前は「エルサルバドル=ブルボン中心」と説明されることが多くありましたが、現在の栽培状況は変化しています。
2025年農業センサスでは、コーヒーを栽培する区画数で、クスカトレコが32.9%と最も多く、続いてブルボン約21%、パカス13.3%、カティモール11.5%、パカマラ5.5%と報告されています。
これはコーヒーの生産量や流通量の割合ではなく、栽培区画数を基準にした割合です。
「エルサルバドル産コーヒーの32.9%がクスカトレコ」という意味ではありません。
コーヒーさび病などへの対応から耐病性を考えた品種も広がり、現在のエルサルバドルは、伝統品種と新しい品種が共存する産地になっています。
エルサルバドルコーヒーの等級|SHGとは?

日本でエルサルバドルのコーヒー豆を探していると、商品名に「SHG」と書かれた豆をよく見かけます。
SHGはStrictly High Grownの略で、高地で栽培されたコーヒーであることを示す表記として流通しています。
エルサルバドルのISCが現在使用している標高区分を見ると、次のように分けられています。
| 標高区分 | 標高 |
|---|---|
| Estricta Altura (高地) | 1,200m超 |
| Media Altura (中高度) | 800~1,200m |
| Central Standard | 800m未満 |
日本の商品では、一般に1,200mを超える高地で栽培された豆に「SHG」という表示を見ることが多くなっています。
SHGは主に栽培標高を知るための情報です。
カッピングで何点を取ったかという味覚評価そのものではありません。
実際に豆を選ぶときは、SHGだけでなく農園・品種・精製方法・焙煎度まで確認すると、好みのコーヒーを探しやすくなります。
精製方法によって味の個性が変わる
エルサルバドルでは、伝統的なウォッシュドに加え、ハニーやナチュラル、さらに発酵工程を工夫したコーヒーも生産されています。
| 精製方法 | 味わいの傾向 |
|---|---|
| ウォッシュド | 透明感が出やすく、酸味や品種の特徴を感じやすい |
| ハニー | 甘みや丸みのある口当たりを感じやすい |
| ナチュラル | 熟した果実のような甘みや香りが出やすい |
| アナエロビック (嫌気性発酵など) | 発酵条件によって、果実やスパイスなどを思わせる個性的な香りが現れることがある |
※精製方法だけで味が決まるわけではなく、品種・発酵条件・乾燥・焙煎などによって仕上がりは変わります。
初めてエルサルバドルを飲むなら、まずウォッシュドで品種の特徴を確かめるのもおすすめです。
より果実感のあるコーヒーが好きなら、ナチュラルやハニーを飲み比べてみると、同じ産地でも味が大きく変わることが分かります。
エルサルバドルコーヒー豆の選び方
エルサルバドルの豆を選ぶときは、「エルサルバドル SHG」だけで決めるより、次の順番で商品情報を確認すると好みに近い豆を探しやすくなります。
産地・農園 → 品種 → 精製方法 → 焙煎度
| こんな味が好き | 選び方の目安 |
|---|---|
| バランスと甘み | ブルボン・パカス/ウォッシュド/中煎り |
| 華やかで個性的 | パカマラ/浅煎り~中煎り |
| 果実感を楽しみたい | ナチュラル・ハニー |
| すっきりした味 | ウォッシュド |
| 酸味を控えめにしたい | 中煎り~中深煎り |
おすすめのエルサルバドルコーヒー
ラ・レフォルマ農園|ブルボンの甘みとコクを楽しみたい人に
Acts-Coffeeでも実際に飲んで紹介しているのが、エルサルバドルのラ・レフォルマ農園です。
100年以上続く歴史を持つ農園で、伝統的なブルボンを楽しめるコーヒーとして紹介しています。
ダークチョコレートを思わせるほろ苦さと甘さに、柑橘を思わせる酸味が重なり、甘み・酸味・コクのバランスを楽しみやすいコーヒーです。
\ エルサルバドル伝統のブルボンを楽しむ /
パカマラ|エルサルバドルらしい個性を楽しみたい人に
すでにエルサルバドルを飲んだことがあり、「次はもっと華やかで個性的な一杯を飲んでみたい」という方なら、パカマラをチェックしてみてください。
大粒の豆から生まれる一杯には、ロットによって花や柑橘、トロピカルフルーツなどを思わせる香りと、ジューシーな果実感が現れることがあります。
特に浅煎り~中煎りでは、深煎りとは違ったパカマラの華やかな個性を感じやすくなります。
エルサルバドルで育成されたパカマラを一度体験してみたい方は、品種名と精製方法まで確認して選んでみてください。
\ エルサルバドル生まれの大粒品種を味わう /
おすすめの焙煎度|パカマラとブルボンでは変えて考える
パカマラは浅煎り~中煎り
パカマラの華やかな香りや果実感を楽しむなら、まず浅煎り~中煎りから試してみるのがおすすめです。
焙煎を深くしすぎないことで、柑橘やトロピカルフルーツ、花を思わせる香りなど、そのロットが持つ個性を感じやすくなります。
ブルボンは中煎り~中深煎りもおすすめ
ブルボンの丸みのある甘みを楽しむなら、中煎り~中深煎りもよく合います。
キャラメルやチョコレートを思わせる甘香ばしさとコクを感じやすく、酸味を控えめに楽しみたい人にも選びやすい焙煎度です。
同じパカマラ、ブルボンでも農園や精製方法によって味は変わります。
商品ページにロースターのおすすめ焙煎度や味の説明があれば、そちらも参考にしてください。
エルサルバドルコーヒーのおいしい淹れ方

豆の特徴を確かめるなら、まずはペーパードリップがおすすめです。
- コーヒー豆:15g
- 湯量:230~240ml程度
- 挽き目:中挽き
- 湯温:浅~中煎りは90~92℃前後、中深煎りは88~90℃前後から調整
- 抽出時間:2分30秒~3分程度を目安
これはあくまでスタート地点です。
酸味をもう少し穏やかにしたい、甘みを強く感じたいなど、好みに合わせて挽き目や湯温、抽出時間を少しずつ調整してください。
パカマラなど香りの豊かな豆なら、ペーパードリップだけでなく、フレンチプレスでコーヒーオイルまで含めて味わってみるのも面白いでしょう。
エルサルバドルコーヒーの歴史|量から質へ

コーヒーは長い間、エルサルバドルの重要な農産物として国の経済を支えてきました。
一方、内戦や国際価格の変動、さらに2012~2013年頃のコーヒーさび病などによって、生産は大きな影響を受けてきました。
現在は従来のブルボンやパカスといった伝統品種だけでなく、病害への抵抗性を考えた品種も増えています。
その一方で、エルサルバドルで育成されたパカマラや、農園・品種・精製方法まで明確にしたマイクロロットなど、生産量だけではなく品質と個性で評価されるスペシャルティコーヒーも大きな魅力です。
エルサルバドルコーヒーについてよくある質問
エルサルバドルコーヒーはどんな味ですか?
やわらかな甘み、きれいな酸味、なめらかな口当たりが特徴として挙げられます。ブルボンではキャラメルやチョコレート、パカマラでは花や果実を思わせる華やかな風味を感じるものもあります。
エルサルバドルで有名なコーヒー品種は?
ブルボン、パカス、パカマラ、クスカトレコなどがあります。特にパカマラは、パカスとマラゴジッペを交配してエルサルバドルで育成された品種として知られています。
パカマラはなぜ有名なのですか?
大粒の豆になりやすく、優れたロットでは華やかで複雑な香りと高いカップ品質が期待できるためです。Cup of Excellenceなどの品評会でも評価されることがあります。
SHGとは最高級という意味ですか?
SHGは主に高地で栽培された豆であることを示す表記です。標高は豆を選ぶ一つの目安ですが、カッピングでの味の点数そのものを意味するわけではありません。
エルサルバドルは浅煎りと深煎りのどちらがおすすめ?
パカマラなどの華やかな香りを楽しみたいなら浅煎り~中煎り、ブルボンの甘みやコクを楽しみたいなら中煎り~中深煎りから試してみるのがおすすめです。
初心者ならどんなエルサルバドルを選べばいいですか?
まずはブルボンやパカスのウォッシュドを中煎り程度で試してみると、甘み・酸味・コクのバランスを感じやすいでしょう。
そこからパカマラ、ナチュラル、ハニーなどへ広げていけば、品種や精製方法による違いも分かりやすくなります。
まとめ|エルサルバドルは品種まで見るともっと面白い

エルサルバドルは小さな国ですが、ブルボン、パカス、パカマラ、クスカトレコなど、多彩な品種を楽しめるコーヒー産地です。
初めてなら、まずブルボンやパカスの中煎りで、やわらかな甘みときれいな酸味を味わってみてください。
もう少し華やかな香りや個性的な味を求めるなら、次はパカマラの浅煎り~中煎りへ。
「エルサルバドル SHG」という表示だけでなく、産地・農園・品種・精製方法まで見て選ぶ。
そこまで分かるようになると、同じエルサルバドルでも一杯ごとの違いが、ぐっと面白く感じられるはずです。























