トラジャコーヒーについて聞いたことがありますか?
トラジャコーヒーは、インドネシア・スラウェシ島のタナ・トラジャ地方で栽培されているアラビカコーヒーです。
日本では、キーコーヒー株式会社の「トアルコ・トラジャ」がとても有名。
今回は、「幻のコーヒー」と言われるトラジャコーヒーの魅力をご紹介します。
INDEX
トラジャのコーヒー豆の特徴
- スラウェシ島産コーヒー豆の生産量:インドネシア産アラビカコーヒー全体の10%未満
- インドネシアのコーヒー生産量:722,461トン(世界ランキング4位)
※FAO国連食糧農業機関による統計。ただし、うちロブスタ種が全体の90%以上 - 年間輸出量:島全体で約720~900トン
※うち、キーコーヒー「トアルコ・トラジャ」だけで約200~500トン。
インドネシアで生産のコーヒー豆は、ロブスタ種が主流です。
アラビカ種は、スマトラ島、ジャワ島の一部、スラウェシ島などで生産されていますが、その約75%がスマトラ産。
スラウェシ島の「トラジャ」の生産量は、とても少なくなっています。
コーヒー豆産地としてのスラウェシ島
トラジャコーヒーの生産地域は、スラウェシ島タナ・トラジャ地方の標高1300m以上の山岳地です。
インドネシアの他の地域同様、スラウェシ島も高温多湿な熱帯性気候。
しかし、アラビカ種コーヒーの栽培地は、標高が高いため比較的温暖で、朝夕の寒暖差が大きく、コーヒーの栽培に十分な降雨量を確保しています。
トラジャ地方は、一年を通して一定の湿度と日中の日射量を確保し、火山性の肥沃な土壌に恵まれているため、アラビカコーヒー栽培に適しています。
インドネシアでは、ロブスタ種の栽培が全体の90%と盛んですが、スラウェシ島だけは、真逆の傾向で、アラビカ種コーヒーの栽培が約9割と言われいています。
コーヒーの栽培は、島で広く行われていますが、タナ・トラジャ地方のトラジャコーヒー、また島南東部にある高原地帯でとれるカロシコーヒーがとても有名です。
標高1300m~1800mの高地栽培のスラウェシ産コーヒーは、スペシャリティコーヒーとして世界から注目される高品質なものも多いのが特徴です。
トラジャコーヒーの歴史
トラジャコーヒーの歴史は、インドネシアがオランダ植民地であった18世紀中旬、オランダ東インド会社が農園を作り、コーヒーの栽培を始めたことで始まります。
原住民を労働力に始めたプランテーションは、ジャカルタを始め東西ジャワ、スマトラ、スラウェシへと広がっていきました。
スラウェシ島のトラジャで作られたコーヒーは、次第にその品質が認められオランダ王室御用達になります。
しかし、インドネシアのコーヒー産業は、1880年代にサビ病の大流行で壊滅的な被害に遭い、以降はロブスタ種の栽培に切り替えることで回復を図り、それからインドネシアのコーヒー生産の主流はロブスタ種になりました。
ただし、その時には、トラジャコーヒーは希少な最高級品としてその地位を保ち続けました。
トラジャコーヒーの災難は、第二次世界大戦によってもたらされます。
戦争の混乱の中、農場は荒れ果て、コーヒーの栽培どころではなくなり、ついにスラウェシ島のトラジャコーヒーの生産は途絶えてしまいます。
それから時が経つこと数十年…。
日本のコーヒー企業であるキーコーヒーが援助に立ち上がり、「トアルコトラジャ」という商標で再びトラジャコーヒーが生産されるようになりました。
キーコーヒーは、トラジャ地区の農場支援だけでなく、精製施設などの設備インフラなどを整えました。
日本輸出向けのコーヒー豆は、直営農園だけでなく、地元の零細農家からも積極的に買い取って人々の収入面をささえ、継続可能なコーヒー産業の一役を買っています。
スラウェシ島のトラジャ栽培
インドネシアのコーヒー栽培は、そのほとんどが1Ha未満の小規模農家がによって行われています。
スラウェシ島のコーヒー栽培も例外ではありません。
大手企業などの大型農園は、全体の約5%ほどです。
ブルボンやティピカ種などの品種が、山の斜面で日陰栽培されています。
トラジャコーヒーの精製方法は、農園によって変わりますが、ウォッシュト(水洗式)やスマトラ式で行われています。キーコーヒー直営農園は水洗式ですが、地元の多くの農家で採用されている方法はスマトラ式こと「ギリン・バサ」。
コーヒーチェリーの果肉を除去後、天日干しで約50%半乾き状態にした後、脱穀して再度乾燥させる方法です。
天日干しが難しい高温多湿なインドネシアに即した加工方法として、インドネシアコーヒー特有のコクを生み出すといわれています。
ウォッシュトでは、収穫したコーヒーチェリーをまず水で洗い流し、“ミューシレージ”と呼ばれるヌルヌルとした粘液質を取り除きます。
水を大量に必要とするのがデメリットですが、欠点豆が少なく、クリーンで均一な豆が精製できるのが大きなメリットです。
トラジャコーヒーの味の特徴
トラジャコーヒーの味の特徴は、独特なクリームのようななめらかさと甘み、そして芳醇な香り。
そこに、力強いコクと穏やかに苦味が絶妙なバランスをつくり出します。
アーモンドやココアを連想させるフレーバ-は、素朴な風味をもたらし、ミルクとの相性もバツグンでクリーミーな味わいを楽しめます。
また、しっかりとしたボディ感のトラジャコーヒーは、酸味の強いコーヒーとの相性がよく、アフリカ産の豆とのブレンドにも最適です。
おすすめの飲み方
トラジャコーヒーの魅力は、力強いコクとボディ感。
それらを引き出す焙煎度は、中深煎り以上がおすすめです。
独特な苦味があるため、更にローストすれば、エスプレッソやエアロプレスで抽出しても存在感のある味わいが楽しめるでしょう。
自宅でエスプレッソを淹れるのが難しければ、トラジャらしい高級コーヒー豆本来の味を確かめたいなら、フレンチプレスで淹れてみてください。
インドネシア現地では、超極細に挽いたコーヒー粉をカップに入れてそのままお湯を注いでコーヒーを抽出し、上澄みだけを飲むというスタイルでコーヒーが飲まれています。
砂糖をたっぷり入れて苦いコーヒーをたしなむのだそうです。
しかし、これでは飲み終わるまでに、浸かったコーヒ-粉から雑味まで抽出されてしまうため、濁りのある味になってしまいます。
そこでキーコーヒーでは、現地でドリップコーヒーの良さを普及する活動も行っているそうです。
トラジャのコーヒー豆の等級について
トラジャコーヒーの等級は、インドネシア産コーヒーの等級基準に沿って、300g中の欠点豆数の数で決められています。
等級 | 条件 |
G1 | 欠点豆数0~3個 |
G2 | 欠点豆数4~12個 |
G3 | 欠点豆数13~25個 |
G4 | 欠点豆数26~45個 |
G5 | 欠点豆数46~100個 |
おすすめのトラジャコーヒー 広島珈琲 トラジャ・カロシ
かつてのオランダ王室に認められた最高級グルメコーヒー「トラジャ」は、現在もその上品な存在感と芳醇な香りが健在です。
品質の高さから、日本を始め欧米向けに輸出されコーヒーファンを魅了してきました。
こちらのトラジャは、クリーミーな風味、力強いコクとソフトな苦味のバランスの良いコーヒーです。
苦味と甘み、深いコクは、カフェラテにしても格別です。
インドネシア発の「幻のコーヒー」の一流の味が気になる方はぜひ。
おすすめのトラジャコーヒー ストコロ農園 トラジャ・ランテカルア
コーヒーのオパール、トラジャ。
スラウェシ島南西地区の山岳地帯ストコロ農園で栽培される最高級ランクのコーヒー(G-1)です。
ハンドピック選別により、丹念に仕上げられたランテカルアは口当たりが柔らかく、なめらかで、すっきりとした酸味と芳醇なコクが特徴です。
送料無料で400g(100g×4袋)としっかりトラジャコーヒーを試すことができます。
エスプレッソや甘いデザートコーヒーにアレンジしても、おいしく召し上がれます。
インドネシアの最高級コーヒー、トラジャらしい旨味をお楽しみください。
日本人の情熱が蘇らせたトラジャコーヒーを味わおう
日本人が蘇生させたトラジャコーヒー。
キーコーヒーが復活させたのは、「幻のコーヒー」トラジャだけでなく、その生産に関わる貧しい原住民の生活の安定でした。
継続的に買い取ってもらえることで、現地民の生活は向上し、コーヒーの品質も改良されサステナブルコーヒーとして機能するのです。
インドネシアでは、主流のロブスタコーヒーの栽培が盛んな一方、山地栽培の最高級コーヒーの研究開発が続けられています。
しかし、それでも生産量を増やすことには限界があります。
トラジャコーヒーは、スラウェア島の限られた標高の高い地域でなければ、栽培することができないからです。
そんな希少性の高いトラジャコーヒーは、日本人のコーヒー好きとして、一度は飲んでおきたいグルメコーヒーです。
トラジャコーヒーの力強いコクと甘み、ボディ感の絶妙なバランスを体験してみてください。