ひと口にコーヒー豆といっても、世界には200種類以上のコーヒー豆の種類があると言われています。
専門店に行くといくつもの種類の豆が並んでいるので、「どうやって豆を選んだらいいのかわからない」という方もいるのではないでしょうか?
そこで今回はコーヒー豆の産地別の種類と特徴についてご紹介したいと思います。
それぞれのコーヒー豆の特徴を知ることが、自分好みのコーヒーにたどり着く近道になります。
INDEX
生産地によって異なるコーヒーの種類と特徴
コーヒーは全世界で最も多くの国で飲まれている飲み物と言われています。
日本でも「朝はコーヒーを飲まないと始まらない!」という方も多いのではないでしょうか。
普段、私たちが飲んでいるコーヒーは、北回帰線と南回帰線の間のコーヒーベルトと呼ばれるエリアで生産されています。
エリア内の約70ヶ国でコーヒーの生産が行われており、それぞれの地域の風土や気候に合わせた品種改良がされているため、生産地域によってコーヒー豆の形や味、香りなどが変わってきます。
コーヒーの専門店に行くと、コーヒー豆の銘柄が国の名前で分かれているのはそのためです。
それぞれの国や地域によってコーヒー豆の等級分けもされていますが、コーヒーの産地を見れば大体の特徴を知ることができます。
代表的な産地のコーヒー豆の一覧と特徴と等級基準
代表的なコーヒー豆の特徴を酸味・苦味・コクの3種類の評価でご紹介していきます。
等級の分け方についても簡単にご紹介するので、自分好みのコーヒーを見つけるのにお役立てください。
ブラジル
酸味 ★ ★
苦味 ★
コク ★
等級 No.2~No.8
「コーヒー」と聞いて、まずブラジルのことを思い浮かべる方も多いと思います。
それもそのはずで、ブラジルは世界最大のコーヒー産地であり、生産量・輸出量ともに世界第1位です。
2016年には300万トン以上のコーヒー豆を生産しており、全世界の生産量の約3分の1を占めます。
灌漑設備や機械化の進んだ大規模農園でコーヒーが栽培されています。
ブラジル産コーヒー豆の特徴
ブラジルのコーヒーは、収穫された後天日干しされることで増す甘みが特徴です。
酸味と苦味のバランスに優れるため飲みやすく、日本でも人気があります。ブレンドのベースとしてもよく使われます。
量産体制が整っていることから、コストパフォーマンスにも優れています。
「リーズナブルに品質の高いコーヒーが飲みたい」という方ならブラジル産コーヒーがおすすめです。
ブラジル産コーヒーの種類
国によって判断基準は異なりますが、ブラジルの場合は300gの見本の中の欠点豆の数・スクリーンサイズ・カップテストの3点を複合的に判断して等級が分かれるため、ちょっと複雑です。
「コーヒーは農作物であり完璧なものはない」という考えから、No.1はなく、No.2が最高等級です。
等級 | 減点数 |
No.2 | 4点以下 |
No.3 | 8点以下 |
No.4 | 26点以下 |
No.5 | 46点以下 |
No.6 | 86点以下 |
No.7 | 160点以下 |
No.8 | 360点以下 |
コロンビア
酸味 ★ ★ ★
苦味 ★
コク★ ★
等級 Supremo・Excelso
ブラジル、ベトナムについで世界第三位の生産量を誇るコロンビア。
日本人なら誰でも知っている「エメラルドマウンテン」もコロンビアで生産されています。
生産量は多いですが、今でも栽培から収穫までが人の手によって行われています。
コロンビア産コーヒー豆の特徴
コロンビアのコーヒーは、口に入れるとすぐに広がるトロピカルフルーツのような酸味が特徴です。
豊かな酸味とともにマイルドな苦味とコクも味わえるバランスの良さが魅力で、エスプレッソやカプチーノ、カフェオレといったミルクレシピのコーヒーなどとも相性がいいです。
日本で一番有名なコーヒー豆と言えば「エメラルドマウンテン」ですが、実はコロンビア産のコーヒー豆。
コロンビアコーヒー農家で作られるFNCという団体の独自の品質基準を満たした全体のわずか1%だけがエメラルドマウンテンと名乗ることを許されます。
コロンビア産コーヒー豆の種類
コロンビア産コーヒー豆の等級はスクリーンサイズのみで決まります。
スクリーンサイズ17(6.75mm)以上の豆が80%を占める豆がSpremoと格付けされます。
等級 | 減点数 |
Supremo (スプレモ) | スクリーンサイズ17以上の豆が80%以上 |
EXCELSO (エキセルソ) | スクリーンサイズ14~16 |
国内消費用 | スクリーンサイズ13以下 |
パプア・ニューギニア
酸味 ★ ★ ★
苦味 ★
コク ★ ★
等級 AA、A~C
日本ではコーヒーの産地としてあまり有名ではありませんが、美味しいコーヒー豆の産地としてコーヒー通の間で知られているパプア・ニューギニア。
パプア・ニューギニアは地球最後の楽園とも呼ばれるほど豊かな自然が残っており、島中央には4,000m級の山脈が連なり、雨季と寒気がはっきりしているなど、コーヒーの栽培に適した自然条件が整っています。
すべて手摘みで収穫されたコーヒー豆の品質は安定しており、比較的値段もリーズナブルなのでヨーロッパでも人気が高いです。
中でも最も有名な銘柄は「シグリ」です。
パプア・ニューギニア産コーヒー豆の特徴
パプア・ニューギニア産のコーヒー豆は、口に入れると広がるフルーティーで優しい酸味が特徴です。
コクはしっかりしていますが苦味はそこまで強くないので、すっきりとした爽やかな後味が楽しめます。
パプア・ニューギニア産コーヒー豆の種類
等級は豆の大きさであるスクリーンサイズと欠点豆の量で決まり、グレードAAが最高等級です。
等級 | 減点数 |
AA | スクリーンサイズ6.95mm以上で、欠点豆のないもの |
A | スクリーンサイズ6.75mm~6.94mmで、欠点豆がないもの |
AB | AとBの混合で半数以上がA |
B | スクリーンサイズ6.55mm~6.74mmで、欠点豆がないもの |
C | スクリーンサイズ5.95mm以上で、欠点豆が多少含まれる |
インドネシア
酸味 ★
苦味 ★ ★ ★
コク ★ ★ ★
等級 G1~G5
コーヒーの生産地としても有名なインドネシアですが、その中でもスマトラ島で生産される「マンデリン」は世界的にも非常に評価の高いコーヒー豆です。
生豆の状態で乾燥させる“スマトラ・プロセス”という特殊な方法がマンデリンならではの独特な風味を作るとも言われています。
スマトラのマンデリンはインドネシアの中でも希少品です。
特に欠陥豆の少ないG1の豆は高級品で、日本ではブルーマウンテンが有名になるまでマンデリンが“世界一のコーヒー豆”と呼ばれていました。
インドネシア産コーヒー豆の特徴
マンデリンの特徴は、口の中で広がるクリームのような滑らかで深いコクと苦味、そして重厚感のある香りです。
口当たりはなめらかなで、マンデリン独特の後味が残ります。
また酸味が少ないため、「酸っぱいコーヒーが苦手」という方にもとても人気のあるコーヒー豆です。
インドネシア産コーヒー豆の種類
インドネシアのコーヒー豆は、300gの中に含まれる欠点豆の数で等級が決まります。
特に最高等級のG1については、風味が優れているものがさらに選別され「SP G1」と表記されます。
等級 | 減点数 |
SP G1 | G1の条件を満たし、風味に特に優れるもの |
G1 | 300g中の欠点豆が0~11個 |
G2 | 300g中の欠点豆が12~25個 |
G3 | 300g中の欠点豆が26~44個 |
G4 | 300g中の欠点豆が45~80個 |
G5 | 300g中の欠点豆が81~150個 |
ホンジュラス
酸味 ★
苦味 ★
コク ★
等級 SHG・HG・Standard
中南米に位置するホンジュラスは、カリブ海と太平洋に面している熱帯気候の国ですが、国全体の約3分の1が標高1,000mを超える高地でコーヒー栽培に適した地域が広がります。
ホンジュラス産コーヒー豆の特徴
ホンジュラスのコーヒー豆は、フルーツのようなスッキリとした酸味が特徴です。
軽い味わいでバランスの優れた飲みやすいコーヒーで、アメリカンコーヒーなどと相性が良いと言われています。
ホンジュラス産コーヒー豆の種類
ホンジュラスのコーヒー豆は、標高の高さに応じてグレードが決まります。
一番高品質だとされるSHG(ストリクトリー・ハイ・グロウン)は標高1,200m以上の産地で生産されたコーヒー豆です。
等級 | 減点数 |
SHG | 標高1200m以上 |
HG | 標高900m以上1200m未満 |
CS (セントラル・スタンダード) | 標高未満600m以上900m |
ペルー
酸味 ★
苦味 ★ ★
コク ★ ★
等級 ESHP・ES・MCM・MC
南米に位置するペルーは、コーヒー大国であるブラジルやコロンビアなどとも隣接している国です。
2016年の段階で生産量第8位と、決して生産量が多いわけではありませんが、全体の生産量の約3割を有機栽培のコーヒーが占めるなど、こだわりをもった小規模農園が多いのが特徴です。
全米スペシャルティコーヒー協会の品評会で最優秀を受賞した経歴のある農園もあります。
ペルー産コーヒー豆の特徴
ペルーのコーヒーは、濃厚なコクとしっかりとした苦味が特徴です。
ただし、しっかりと熟してから丁寧に収穫されたコーヒーは、後味にまろやかな酸味と甘みが残るため、苦味のあるコーヒーが苦手な方でも飲みやすくいただけます。
オーガニックコーヒーも多く、こだわりのコーヒー豆が見つけられます。
ペルー産コーヒー豆の種類
ペルー産のコーヒー豆の等級は不良豆の数とそれを取り除く方法で決まり、最高等級のESHPは機械式・電子式選別機に掛けた後、人の手でハンドピックを施します。
また、オーガニックコーヒーを作る小規模農園が多いため、等級だけでなく好みの農園を見つけることもおすすめします。
等級 | 減点数 |
ESHP | 機械式&電子式選別機にかけた後、ハンドピック |
ES | 機械式&電子式選別機にかける |
MCM | 機械式選別機に2回かける |
MC | 機械式選別機に1回かける |
グアテマラ
酸味 ★ ★
苦味 ★
コク ★ ★
等級 SHB・HB~GW
中央アメリカの北部に位置し、カリブ海と太平洋に面しているグアテマラ。
国土の70%が火山を有する山岳地帯で、豊かな火山灰土壌と適度な降雨量を利用した質の高いコーヒー豆の生産が行われています。
グアテマラ産コーヒー豆の特徴
グアテマラのコーヒーは、フローラルな甘い香りと明るく上品な酸味、しっかりとしたコクのバランスに優れた味わいが特徴です。
ブラジルの豆と同じようにブレンドによく用いられます。
グアテマラ産コーヒー豆の種類
グアテマラ産のコーヒー豆は、生産地の高度で等級が決まり、標高1350m以上のSHBが最高等級です。
スペシャルティコーヒーの生産地として有名な農園が数多くあり、中でも「アンティグア」地区のコーヒーはグアテマラでも高品質コーヒーの代表格となっています。
等級 | 減点数 |
SHB (ストリクトリー・ハード・ビーン) | 標高1350m以上 |
HB | 標高1200m以上1350m未満 |
SHB (セミ・ハード・ビーン) | 標高1050m以上1200m未満 |
EPW (エクストラ・プレミアム・ウォオッシュド) | 標高900m以上1050m未満 |
PW (プレミアム・ウォオッシュド) | 標高750m以上900m未満 |
EGW (エクストラ・グッド・ウォオッシュド) | 標高600m以上750m未満 |
GW (グッド・ウォオッシュド) | 標高600m未満 |
エチオピア
酸味 ★ ★ ★
苦味 ★
コク ★ ★
等級 G1~G5
コーヒー発祥の地とも呼ばれるエチオピア。
抜群の知名度を誇る「モカ」は、その9割以上がエチオピア産と言われています。
特に南部のシダモ地方のコーヒー豆は“コーヒーの女王”とも呼ばれ、世界的に人気が高いです。
エチオピア産コーヒー豆の特徴
シダモ・モカをはじめ、エチオピアのコーヒーは世界一の香りを持つと言われています。
ジャスミンのような爽やかな香りと芳醇なコクが口に広がり、後味に上質な甘みが余韻として残ります。
エチオピア産コーヒー豆の種類
伝統的な製法で作られるエチオピアのコーヒーは欠点豆も多く、その混入率の少なさでグレードが決まります。
欠点豆を丁寧に手作業で除去しなければならず、手がかかることから“コーヒー豆の貴婦人”とも呼ばれています。
最高等級のG1の場合、300gに含まれる欠点豆は0~3個です。
等級 | 減点数 |
G1 | 欠点豆0~3個/300g |
G2 | 欠点豆4~12個/300g |
G3 | 欠点豆13~27個/300g |
G4 | 欠点豆28~45個/300g |
G5 | 欠点豆46~90個/300g |
各国のコーヒー豆の特徴や種類を知ってお気に入りを見つけよう
世界の約70ヶ国で栽培・収穫されているコーヒー豆は、その土地の気候風土に合わせて品種改良されていくため、生産される場所によって味わいや風味などの特徴が大きく変わります。
たくさんのバラエティ豊かな種類のコーヒー豆の中から、自分好みのものを見つけるのもコーヒーの楽しみ方の一つです。
今回の情報を参考にしながら、お気に入りを見つけてコーヒーをもっと楽しみましょう。